知っておきたい税務調査での立証責任

突然ですが、税務調査での立証責任がどちらにあるか、考えてみたことはありますか?

立証責任というワードを知っているだけで、税務調査時に調査官に反論できることがあります。

今回のブログでは、税務調査での立証責任について解説します。

目次

立証責任は調査官にある

税務調査での立証責任は調査官(課税庁)にあります。

最高裁判所の判例(昭和38年3月3日)において、「所得の存在及びその金額について決定庁が立証責任を負うことはいうまでもないところである」とされています。
その他複数の裁判例において、立証責任は調査官にあるとされています。

立証責任とは、事実があるかどうか認定できないという場合に、いずれか一方の当事者が負う不利益又は負担のことです。
税務調査での立証責任については、調査官がその証拠などを探さなければならないということです。

調査官に強力な質問検査権(取引先に対する反面調査含む)が認められていることからも、調査官(課税庁)側に立証責任があることはイメージができると思います。

しかしながら、調査官が「〇〇費の内容が確認できないため否認します」などと言うことがあります。
その場合は、調査官が立証責任を正しく理解していないか、納税者(税理士)にふっかけるようなことをしていることが考えられます。

このような場面に遭遇したなら、税理士として「否認するなら根拠を明確に示してください。立証責任はそちらにあります」と言わなければなりません。

一部だけ納税者に立証責任あり

例外として、納税者(税理士)に立証責任があるものがあります。
イメージとしては、納税者が有利になるものです。

税務調査では、損失計上や租税特別措置法に基づく控除などです。
これらは利益を大きく減少させ、納税額も大きく減少させます。

つまり、納税者有利です。
損失計上や租税特別措置法に基づく控除があれば、税務調査時にどのような事実・法律の根拠に基づいているかなど確認されます。

その他、税務調査とは少し離れますが、加算税やその他の義務を免れる「正当な理由」についても、立証責任は納税者側にあります。
納税者が有利になるものは、納税者側に立証責任があるのは当然と言えますね。

損失について、もう少し説明します。
よくある損失として「貸倒損失」があります。
貸倒損失とは、売掛金などの債権が回収できなくなった(貸し倒れた)場合に、その分を損失にすることです。

税法上、貸倒損失を計上できる場合が、次の3つに限られています。

①法律上の貸倒
②事実上の貸倒
③形式上の貸倒

貸倒損失の立証責任は、基本的には納税者側にあると考えられますが、当事務所では計上のパターンによっては課税庁側にも立証責任があると考えています。

まとめ

立証責任のまとめは次のとおりです。

調査官の立証責任=否認事項
納税者の立証責任=納税者有利の事項

税務調査では、調査官はできるだけ多く否認したいと考えて行われますので、立証責任は調査官側と考えてOKです。

私たちのお客様が税務調査となった場合、調査が円滑に進むよう協力しますが、もし調査官が私たちにふっかけるようなことをすれば、立証責任がどちらにあるか強く反論します。

当事務所は代表税理士が元国税調査官です。
その経歴と税務調査に強い税理士法人の実務経験が合わさり、他の事務所には真似できない圧倒的な税務調査対応力があります。

税務調査に不安がある方、過去に税務調査で嫌な目にあった方は、当事務所にご相談ください。
顧問先様の税務調査の確率を大幅に下げ、調査となった場合でも全力でお客様をお守りします!

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この記事を書いた人

関東の国税局・税務署で法人の税務調査や酒類業免許審査担当などに従事。
業界の手本と言える高付加価値サービスを提供する税理士法人で実務経験を積み、出身地である八尾市にて独立開業。
現在、法人の税務顧問に特化した税理士事務所と、酒類販売業免許専門の行政書士事務所を経営するとともに、令和7年度 大阪市産創館の経営サポーターとしても活動。

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