元国税調査官の税理士開業日誌②【開業3ヶ月前~1ヶ月前】

おはようございます!

昨日、今日といい天気ですね。
早起きしましたので、出かける前に開業日誌の連続投稿をします。

この開業日誌は、時系列かつ実体験に基づくシリーズものです。
税理士の開業を志す方、今後開業を予定している方の参考になるよう、開業の準備や行動してきたことを書いていきます。

どの開業日誌よりもリアルに書きつつ、自分自身の行動を振り返っています。
私のホームページやブログは文字数が多くて長いとよく言われますが、最後まで読んでくれると嬉しいです。

今回の開業日誌は、開業(退職)の3ヶ月前から1ヶ月前までの時期(2024年8月~10月)について。

おせっかいで自己満足なところもありますが、私が実際にして良かったことや、悪かったことなども書いていますので、参考になれば幸いです。

目次

取り組んだこと一覧

この時期に、次のことを順に行いました。

①創業の支援や補助金の情報収集~八尾市の創業支援の申込み
②八尾市のインキュベートルーム利用申請~事業計画書作成
③インキュベートルームの面接審査の対策・準備
④会計、申告ソフトの検討
⑤ホームページの作成・完成(未確定部分以外)

開業場所が八尾市に決まっていたので、この時期に八尾市内での開業に向けて具体的な行動が始まりました。

今回の開業日誌は八尾市だからこその取組が多いです。
とは言え、後述する特定創業支援事業については、開業される方は知っておいて損はない情報です。

取組の具体的な内容

以下、細かく取り組んだことを書いていきます。

①創業の支援や補助金の情報収集~八尾市の創業支援の申込み

創業支援の制度などがあれば利用したいと考えていたため、大阪府や八尾市の支援関係をいろいろと調べました。
結果、大阪府はもちろん、八尾市含め各市町村で創業の支援の制度や仕組みがいくつもあることがわかりました。

その中で、八尾市の「特定創業支援事業」を受けようと考えました。

特定創業支援事業とは、起業を志す方や、起業後間もない方を対象に、経営・財務・人材育成・販路開拓に関する知識を習得するための支援のことです。
具体的には、創業に関するセミナーの受講、専門家への相談などが支援の内容となっています。

この「特定創業支援事業」を受けることで、次のメリットもあります。

・株式会社等を設立する際、登記にかかる登録免許税が軽減
(株式会社または合同会社の場合:資本金の0.7%→0.35%、株式会社の最低税額15万円→7.5万円、合同会社の最低税額6万円→3万円。)
・大阪府制度融資開業サポート資金(地域支援ネットワーク型)の申込可能期間 (創業前:2ヵ月→6ヵ月)
・日本政策金融公庫創業融資の貸付利率引き下げ
・一部の補助金で有利になる

「特定創業支援事業」は、八尾市だけでなく、大阪市など他の市区町村も行っている支援ですので、開業される方は市区町村のホームページなどを調べてみてください。

私は税務を個人事業に、財務コンサルと経営コンサルを法人の事業にすることを考えていました。
前述したメリットを享受できることから、早速この支援に申し込んで、その日のうちに特定創業支援事業を受けました。

私の場合は、税理士兼中小企業診断士であったため、日ごろの業務で相談を受ける側という立場もあり、支援してくださった方々に少し気を遣れながら支援を受けました。

また、特定創業支援事業のほかに、創業時に関する補助金も調べました。

結果として、私が利用できそうな補助金はありませんでした。
IT導入補助金は原則として1事業年度経過しないといけませんし、小規模事業者持続化補助金は開業してすぐに申請できますが、スケジュールなどの成約があり、また、補助金を受けるほどの大きな経費もなかったからです。

②八尾市のインキュベートルーム利用申請~事業計画書作成

上記の利用申請については、前述した特定創業支援事業を受けた際に、八尾市立中小企業サポートセンターの専門コーディネーター(中小企業診断士)の方から、インキュベートルームの利用の案内があったことがきっかけです。

インキュベートルームとは、新たに起業をされる方や、新事業への進出を目指す事業者等に、八尾市が運営する事業用スペース(インキュベートルーム)を貸し出し、経験豊富なインキュベートマネージャーがさまざまな支援を行い創業のお手伝いをする施設です(八尾市ホームページより)。

場所は八尾商工会議所の2階にあり、個室タイプと共同利用室タイプがあります。

賃貸事務所をSOHO物件で検討していたところ、「ものすごく良い環境で事務所を開業できるかもしれない!」ということで、すぐに個室タイプを申請しました。

インキュベートマネージャーの助言のほか、入居者同士の交流もあり、賃料も安いということで、申請しない理由はなかったです。

ただし、入居には審査があり、事業計画書の提出と面接審査が必要。
事業計画書は税理士法人の業務で何度も作成していたため、スムーズに作成できました。

インキュベートマネージャーに事業計画書の添削をしてもらったところ、実体験に基づく的確なアドバイスがあり、事業計画書の作成の勉強をさせてもらうとともに、計画書の大幅な改善につながりました。

2度の添削を受け、お墨付きをもらい、その後の面接審査に臨みます。

③インキュベートルームの面接審査の対策・準備

この面接は9名に囲まれながら、プレゼンと質疑応答を行うものでした。
面接はマネーの虎、今でいう令和の虎より囲まれる人数が多かったです。

次回の開業日誌で面接の内容などを書こうと考えています。

④会計・申告ソフトの検討

勤務していた税理士法人で使っていたJDLや、先輩税理士が使っているソフトを実際に見せてもらったりしながら、ソフトを比較・検討。

勤務していた税理士法人のJDLで同じ環境(サーバー利用・会計から申告までの一気通貫)を実現する場合は、かなりのコストとなるため、選択肢からすぐに外れました。

クラウド会計の対応は必須と考えていたため、結果的にマネーフォワードにしました。
申告ソフトは、マネーフォワードと相性がよい達人シリーズを利用するに至ります。

ちなみに、ひとり税理士の方の書籍やブログを読むと、JDLの「IBEXクラウド組曲Major」で必要な機能のみ利用し、コストを抑えて使っているという情報もあります。ご参考まで

⑤ホームページの作成・完成(未確定部分以外)

WordPressの自作ホームページは、事務所所在地や写真の部分などを除いて完成までたどりつきました。

情報収集を含めると作成に150時間かかりました。
開業日誌①のとおり、開業(退職)前に十分な時間があったからこそできたことです。

ホームページで苦労したところは、お問い合せフォーム。
「自由記入欄」「当事務所を知ったきっかけ」の項目を入れるなどこだわりがありました。

その実現のため、webに関する知識を学びながら作業しましたが、けっこう手こずりました。
下の画像にある内容を部分的にいじりつつ、ホームページ上でうまく反映するか何度も試行錯誤。


結果的に、お問い合わせフォームの完成だけで10時間ぐらいを投入。
途中で妥協しそうになりましたが、下の画像のとおり、最初に考えたイメージどおりに完成させることができました。


お問い合わせフォームの入力結果を自身のメールアドレスあてに届くようにする作業にも、かなりの時間がかかり、けっこうしんどかったです。

そうして完成したホームページを友人に見て・読んでもらいアドバイスをもらいました。
会計や税務を知らない友人と、同業者の友人にアドバイスをもらい、表現の見直し・見栄え・情報の量などを変更。

的確なアドバイスで目から鱗だったので、アドバイスしてくれた人たちには感謝です。

ホームページは今でも改善を繰り返しています。
最近変えたのは、「事務所紹介」ページの「代表者紹介」部分に、座右の銘や趣味を追加したことです。

お世話になっている士業の方から、ホームページの座右の銘がきっかけで、お客様から問い合わせ・受任になったと聴いて、すぐに真似しました。
自作ホームページは、自分でいつでも自由に改善できるのがいいですね。

ちなみに、ホームページの公開について、WordPressのプラグイン「Slim Maintenance Mode」により、公開した後でも、実質公開していない状態(メンテナンスモード)にできます。

初めてホームページを公開するときはドキドキしますので、メンテナンスモードにできることを知っておくと安心です。こちらもご参考まで

振り返りまとめ

創業支援の制度などをいろいろと調べて、すぐに「特定創業支援事業」を利用しようと行動できたのは良かったです。このような支援の制度や補助金・助成金などは、自分から情報をつかまないといけませんからね。

これらの知識と経験は、これから創業したいという方にもアドバイスできますので、自分で経験しておくことも重要だと改めて感じます。

今後もいろいろと調べて、自分にとって必要なものを取捨選択するということを続けていきたいと考えています。

その他、会計・申告ソフトについては、このブログを書いている現在も、マネーフォワードと達人シリーズを使用しています。

いずれもほぼ初めて利用するソフトのため、まだ使いこなせていないというのが本音です。
しっかりと使いこなした上、折をみて新たなソフト(現時点ではfreeeが候補)を導入しようと考えているところです。

開業については、結果的に八尾市のインキュベートルームの面接審査を通過し、インキュベートルームで開業できました。

改めて私は強運の持ち主だと思います。
インキュベートルームの情報をくれた方との出会いがなければ、現在に至っていないかもしれません。

お客様はもちろん、お世話になっている士業の方も、インキュベートルームつながりが多いため、縁とタイミングに恵まれたと感じています。

事業がうまくいくかどうかは、縁やタイミングの要素がかなり大きいと言われていますが、本当にそうですね。


そういえば、この時期(2024年8月~10月)は令和の米騒動があり、自宅のお米がなくなり、うどん・そば・パスタばかり食べていました。

この時期からお米の価格が右肩上がりで、ブログを書いている現在もお米の値段が過去最高値を更新と、まだしばらくは麺類生活が続きそうです。

次回の開業日誌③では、開業(退職)の1ヶ月前から開業日までの時期にした準備や行動の実体験を書いていきます。

お楽しみに!!

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この記事を書いた人

関東の国税局・税務署で法人の税務調査や酒類業免許審査担当などに従事。
業界の手本と言える高付加価値サービスを提供する税理士法人で実務経験を積み、出身地である八尾市にて独立開業。
現在、法人の税務顧問に特化した税理士事務所と、酒類販売業免許専門の行政書士事務所を経営するとともに、令和7年度 大阪市産創館の経営サポーターとしても活動。

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