資本性借入金とは?中小企業の資金繰りを助ける融資制度

「追加融資を受けたいが、借入が多くて難しい…」

「銀行から自己資本比率を指摘された…」

そんなときに選択肢となるのが“資本性借入金”です。

今回のブログでは、あまり聴かない資本性借入金の仕組みやメリット・デメリットなどを解説していきます。

目次

資本性借入金とは

資本性借入金とは金融機関の評価上は自己資本と見なされ、会計上は借入金(負債)となるものです。

資本性ローン(資本性劣後ローン)とも呼ばれ、日本政策金融公庫・商工中金・金融機関などが取り扱っています。

通常の借入金は、毎月の返済負担がありますが、資本性ローンの返済は基本的に「期限の最後に一括」であり、それまでの間は毎月の返済が不要です。

資本性借入金の仕組み

資本性借入金には、いくつかの特徴的な仕組みがあります。

返済は最後にまとめて

通常の融資では毎月の元本返済が必要ですが、資本性借入金は原則として契約期間の最後にまとめて返済します。

つまり、契約期間中は元本返済がなく、資金繰りに余裕を持たせることができます。

金利は業績に応じて変動

資本性借入金の金利は「業績連動型」です。

赤字の場合は非常に低利率(0.5~1.0%程度)で済む場合がありますが、利益が出ると段階的に金利が上がり、4~5%になるケースもあります。

返済順位が低い(劣後性)

資本性借入金のほとんどが劣後タイプであり、倒産や清算の際、資本性借入金の返済順位は一般の借入金よりも後回しになります。

だからこそ金融機関は「この借入は資本に近い」と評価し、自己資本として扱ってくれるということです。

資本性借入金のメリット

経営者にとって、資本性借入金には次のようなメリットがあります。

資金繰りが安定する

返済が期日まで発生しないため、資金繰りに余裕が生まれます。

通常の融資では赤字企業は借りにくいですが、資本性借入金は「赤字でも将来性がある」と判断されれば借りられる可能性があります。

なお、金融庁の資本性借入金の定義は「返済期間が5年超・期日一括返済」です。

公庫の資本性ローンは、返済期間が「5年1ヶ月から最長20年以内」となっています。

財務体質の改善

自己資本として扱われるため、自己資本比率が改善します。

これにより銀行の評価が高まり、追加の融資を受けやすくなります。

無担保・無保証

資本性借入金は無担保・無保証です。

提供できる担保がない中小企業にとっては大きなメリットです。

資本性借入金のデメリット

もちろん、資本性借入金にはデメリットや注意すべき点もあります。

金利が高め

黒字が出ると金利が段階的に上がる仕組みになっており、一般的な融資よりも金利負担が大きくなることがあります。

例えば、公庫の「挑戦支援資本強化特別貸付」の利率(年)は次のとおりです。

赤字期の資金繰りを支える分、会社が順調に成長しているときには負担が増えます。

繰り上げ返済ができない場合がある

金利の負担を軽減するため、繰り上げ返済の方法を考えるかもしれませんが、資本性借入金は基本的に繰り上げ返済ができません。

ただし、借入から5年間を経過した後は、繰り上げ返済が認められる場合があります。

将来の一括返済に備えが必要

契約期間終了時には、元本を一括返済しなければなりません。

その資金をどう確保するか、事前に計画しておく必要があります。

契約条件に注意

返済条件や劣後性の有無により、財務諸表上の扱い(自己資本的評価を受けられるか)が変わるため、契約内容の確認に注意が必要です。

審査が厳しい

資本性借入金の返済順位は一般の借入金よりも後回しになる分、審査が厳しいです。

税理士や中小企業診断士の支援を受けながら、事業計画書の作成など多くの書類の作成・提出が必須と言えます。

利用できる制度の例

資本性借入金は、いくつかの制度を通じて利用できます。

日本政策金融公庫の挑戦支援資本強化特例制度

新規事業、経営改善、企業再建などに取り組む方であって、地域経済の活性化のために、一定の雇用効果が認められる事業、地域社会にとって不可欠な事業、技術力の高い事業などに取り組む方が対象です。

赤字でも利用可能な場合があります。

この制度は劣後タイプではありませんが、金融機関の評価上は自己資本と見なされると明記されています。

詳しくはこちらをご確認ください。

商工中金や各金融機関の融資

主に地域企業向けに資本性劣後ローンを提供しています。

公庫または商工中金と、金融機関での協調融資が前提になるケースが多いです。

信用保証協会の資本性ローン保証制度

民間金融機関を通じて利用できる仕組みで、保証協会が一定割合を保証します。

どんな会社におすすめか

資本性借入金は、特に次のような会社に向いています。

  • 債務超過の会社:自己資本比率を改善して、金融機関からの信頼を回復できる
  • 成長投資を計画している会社:先行投資で赤字になっても資金調達しやすい
  • 設立して間もない会社:まだ利益が出ていなくても調達可能

まとめ

資本性借入金は、制度を知っているかどうかで資金調達の選択肢が大きく変わる分野です。

同じ決算書でも
・評価される会社
・評価されない会社
に分かれるのは、数字の背景説明と顧問税理士の実力の差です。

当事務所では、単なる税務顧問にとどまらず、金融機関がどう評価するかを意識した決算・事業計画・資金調達支援を行っています。

「今すぐ借りたいわけではないが、将来に備えたい」
「一度、第三者の目で見てほしい」

そんな段階のご相談も歓迎です。資本性借入金を含め、自社に合った資金調達の道筋を一緒に考えてみませんか。事業計画書の作成が必要な場合も含め、状況に応じてサポート可能です。

少しでも気になる方は、私たちにお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

関東の国税局・税務署で10年以上、法人の税務調査や酒類業免許審査担当などに従事。在籍中に中小企業診断士登録。その後、高付加価値サービスを提供する税理士法人で実務経験を積み、より多くのお客様に向き合うため独立開業。
顧問先様の「税務調査ゼロ」を掲げ、年間30件以上の創業支援を手がけるとともに、酒類販売免許に強い行政書士として活動。令和7年度からは大阪産業創造館の「経営サポーター」として大阪の経営者を多角的に支えている。

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