酒類卸売業免許(全酒類・ビール)2026年9月1日から抽選申請|倍率と準備を元免許審査官が解説

「全酒類卸売業免許は抽選だから、9月にならないと動けない」そう思って、夏のあいだ止まっている方がけっこういます。
それは半分だけ正しくて、半分は損をしています。
2026年(令和8免許年度)の抽選対象申請期間は、2026年9月1日(火)〜9月30日(水)ですが、7月1日から8月31日までに受理された申請書も、9月1日に受理されたものとして取り扱います。
つまり、このブログを読んでいる8月の時点で申請書は出せるということです。
今回のブログでは、令和8免許年度の申請スケジュール、令和7免許年度に実際どれくらいの倍率だったのか、抽選と審査の流れ、そして9月30日までにすべき準備・対応を、税務署の酒類指導官部門で免許審査を担当していた視点から、詳しく解説します。
※免許可能件数の発表は2026年9月1日(火)
申請スケジュール|9月1日から9月30日までの1ヶ月

抽選対象になる免許は2つだけです。
- 全酒類卸売業免許(原則すべての品目の酒類を卸売できる)
- ビール卸売業免許(ビールを卸売できる)
洋酒卸売業免許・自己商標酒類卸売業免許・輸出入酒類卸売業免許などは、免許可能件数の枠も抽選もありません。年間を通じていつでも申請できます。越境ECや海外向け販売を考えている方は、輸出入酒類卸売業免許が必要です。
そもそも卸売と小売の線引きがあいまいな方は、先に卸売と小売の違いのブログを読んでおくと、免許制度の概要や区分が理解しやすくなります。
本題に戻ります。令和8免許年度のスケジュールは次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 免許年度 | 令和8免許年度(2026年9月1日〜2027年8月31日) |
| 免許可能件数の公告 | 2026年9月1日(火)/国税庁ホームページ・税務署の掲示板で公開 |
| 抽選対象申請期間 | 2026年9月1日(火)〜9月30日(水) |
| 公開抽選 | 2026年10月ごろ(日時・場所は期間終了後に個別通知) |
| 審査開始通知 | 抽選(審査)順位に基づき順次 |
| 追加書類の提出 | 通知後おおむね2週間以内 |
| 登録免許税 | 原則として9万円(免許交付時に納付) |
この1ヶ月に受理された申請だけが、公開抽選の対象になります。
裏を返すと、10月以降に出した申請書は、抽選組の審査が全部終わってからの順番待ち。枠が残っていなければ、次の免許年度まで待つことになります。
実は8月中に出せる|「9月1日受理」とみなされるルール

7月1日から8月31日までに受理した全酒類卸売業免許等の申請書等は、同年9月1日に受理したものとして取り扱うとされています。ただし、次のものは除かれます。
① 法人成り等に伴い提出された申請書
② 営業の譲受けに伴い提出された申請書
③ 同一の卸売販売地域内での販売場の移転の許可申請書
「早く出したほうが抽選で有利になるのか?」と質問がありますが、申請の順番は関係ありません。順位は抽選で決まります。しかし、余裕をもって申請書を提出することをおすすめします。理由は補正(不備や不足書類の提出)の時間を確保するためです。
申請書に記載漏れがあったり、添付書類が足りなかったりすると、税務署から補正の指示が出ます。指定された期限までに補正できれば抽選対象ですが、間に合わなければ、その年の抽選から外れます。
9月30日に駆け込みで出した申請書は、この補正の対処ができません。毎年申請する事業者の方も多いため、抽選時点においての補正はあまりないですが、初めて申請する方については補正となる可能性が十分にあります。リスク回避のためにも、早めに申請書類一式を準備すべきです。
令和7免許年度の実績(大阪国税局管内)

「抽選と言っても、実際どれくらい競争があるのか」、前年の公表数字で確認しましょう。令和7免許年度(2025年9月申請分)の大阪国税局管内の状況は、次のとおりでした。
全酒類卸売業免許
| 都道府県 | 免許可能件数 | 抽選対象申請書等の件数 | 免許可能件数の残数 |
|---|---|---|---|
| 滋賀県 | 1件 | 1件 | 0件 |
| 京都府 | 1件 | 2件 | 0件 |
| 大阪府 | 1件 | 14件 | 0件 |
| 兵庫県 | 1件 | 12件 | 0件 |
| 奈良県 | 1件 | 0件 | 1件 |
| 和歌山県 | 1件 | 1件 | 0件 |
大阪府・兵庫県のような都市部では、1件の枠に対し10件以上の申請のため、かなり競争が激しいです。
ビール卸売業免許
| 都道府県 | 免許可能件数 | 抽選対象申請書等の件数 | 免許可能件数の残数 |
|---|---|---|---|
| 滋賀県 | 1件 | 0件 | 1件 |
| 京都府 | 1件 | 0件 | 1件 |
| 大阪府 | 11件 | 0件 | 11件 |
| 兵庫県 | 1件 | 0件 | 1件 |
| 奈良県 | 3件 | 0件 | 3件 |
| 和歌山県 | 1件 | 0件 | 1件 |
(国税庁・大阪国税局「全酒類卸売業免許及びビール卸売業免許の抽選対象申請期間における申請等の状況(令和7免許年度)」より)
ビール卸売業免許は6府県すべて申請0件。大阪府にいたっては11件の枠が丸ごと残りました。
全酒類は10倍を超える競争、ビールは無関心という傾向が基本的に続いています。
ちなみに、免許可能件数の計算式は次の資料で公開されています。
・「酒類卸売業免許申請の手引」
・「酒税法第10条 製造免許等の要件」の法令解釈通達
(「5 全酒類卸売業免許の需給調整要件」「6 ビール卸売業免許の需給調整要件」参照)
抽選と審査の流れ

記載漏れ・添付漏れがあれば補正指示。期限内に補正すれば抽選対象
抽選機で審査順位を決定
記載漏れ・添付漏れがあれば補正指示。この段階の補正指示は多くの申請で行われます
抽選について、次の3つを知っておくと、申請~免許までをイメージしやすいかもしれません。
① 申請が枠の範囲内なら、抽選は行われない
抽選対象申請書の件数が免許可能件数の範囲内であれば、公開抽選は実施されません。複数の申請があっても全員が同順位となり、抽選を行わない旨と審査開始時期が書面で通知されます。ビール卸売業免許は、抽選になることはないはずです。
② 抽選には1名が参加できる
申請者本人または代理人(1名に限る)が参加できます。代理人の場合は委任状が必要です。抽選機を操作するのは国税局の職員で、参加者は操作できません。公正を確保するため、職員以外の第三者が立会人として1名以上立ち会います。
③ 順位が下位でも、可能性はゼロではない
上位の申請者が要件を満たさず不交付になれば、順番は繰り上がります。全酒類卸売業免許のように1件の免許枠しかない場合、審査順位が2位であれば、まだチャンスがあります。
免許の4要件|経営基礎要件はハードルが高い

抽選に当たっても、要件を満たしていなければ免許は交付されません。要件は次の4つです。
①人的要件
法令遵守状況などに問題がないこと
②場所的要件
免許する場所として問題がないこと
③経営基礎要件
十分な資金、販売施設・設備があること
酒類の卸売業を経営する知識と能力があること
販売見込数量が、全酒類卸売業免許は年間100kl以上、ビール卸売業免許は年間50kl以上であること
④需給調整要件
地域的受給調整により、免許可能件数の範囲内であること
このうち、審査でいちばん引っかかるのが③です。
審査する側にいた経験として、販売見込数量の欄に「年間100kl以上の数量」を書いたものの、その根拠が乏しい申請書がそこそこありました。そこで審査に引っかかり、補正を求めるということがよくあります。
100klという数字は、大びん(633ml)に換算すると約16万本です。つまり、複数の取引先がなければ届かない水準ということ。審査官が見ているのは数字そのものではなく、その数字を裏づける取引の実在性です。
「とりあえず抽選だから申請しておこう」という考えもありだとは思いますが、ここの要件で審査が通らないことは往々にしてあります。ご注意ください。
なお、具体的な要件の内容は「酒類卸売業免許申請の手引」に記載されています。手引は不定期に改訂されますので、最新のものを確認するようにしましょう。
今から準備・対応すべきこと

「酒類卸売業免許申請の手引」をベースに、以下の準備・対応を行うことが望ましいです。
①申請の4要件を満たしているか確認(手引11~15ページ)
②申請時提出用の書類様式の確認、記載準備(手引46ページ)
③審査時提出用書類の書類様式の確認、添付書類の把握(手引47ページ)
④余裕をもって申請(遅くても9月中旬まで)
手引が改訂されると、ページ数などが異なる可能性があります。その場合はご了承ください。
よくある質問(FAQ)

Q1. 2026年の抽選対象申請期間はいつからいつまでですか。
2026年9月1日(火)から9月30日(水)までです。加えて、7月1日から8月31日までに受理された申請書も9月1日に受理されたものとして取り扱われます(法人成り等・営業の譲受けに伴う申請書、同一卸売販売地域内での販売場移転の許可申請書を除く)。
Q2. 早く提出すれば抽選で有利になりますか。
なりません。審査順位は公開抽選で決まります。早く出す価値は、補正に対応する時間を確保できることです。
Q3. 免許可能件数はいつわかりますか。
毎年9月1日に、国税庁ホームページと税務署の掲示板で公告されます。令和8免許年度分は2026年9月1日(火)の公表予定です。
Q4. 抽選順位が下位の場合、その年度の免許はもう無理ですか。
そうとは限りません。上位者が不交付になれば繰り上がりますし、免許可能件数に残数があれば年度の途中でも申請できます。令和7免許年度は、奈良県の全酒類卸売業免許で枠が残る結果となりました。
Q5. 全酒類卸売業免許とビール卸売業免許は、同時に申請できますか。
どちらも申請自体は可能です。ただし販売見込数量の要件(100kl・50kl)や資金計画の裏づけがそれぞれ必要になります。
Q6. 抽選のない卸売業免許はありますか。
洋酒卸売業免許・自己商標酒類卸売業免許・輸出入酒類卸売業免許・店頭販売酒類卸売業免許・協同組合員間酒類卸売業免許などには免許可能件数の枠がなく、年間を通じて申請できます。
まとめ
今回のブログのまとめです。
・令和8免許年度の抽選対象申請期間は、2026年9月1日(火)〜9月30日(水)
・7月1日〜8月31日に受理された申請書も9月1日受理扱い
・令和7免許年度の大阪府は、全酒類卸売業免許が1件の枠に14件の申請で競争が激しい
・販売見込数量が、全酒類卸売業免許は年間100kl以上でハードルが高い
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