酒類の免許取得の情報は公表されます!

あまり知られていませんが、お酒の免許取得の情報は公表されます。

その理由や、どのような情報が公表されるか解説します。
後半部分では、私が酒類指導官部門で免許審査担当をしていたからこそわかる情報も紹介しています(守秘義務の範囲で)。

興味がある方は最後までお読みください。

免許取得の情報を公表する理由

理由は大きく2つです。

①酒類の免許付与手続の透明性・統一性を一層確保するため
②情報公開法上の情報提供の趣旨に資するため

公表は酒類等製造免許と酒類販売業免許に分けて行われます。
酒類等製造免許の新規取得件数はごく少数のため、以下、酒類販売業免許を前提に解説します。

公表される内容

公表される内容は次のとおりです。

①税務署名
②免許等年月日
③申請等年月日
④販売業者等氏名又は名称
⑤販売場所在地
⑥卸小売等区分(小売・卸売)
⑦種類区分(一般・通信販売・輸出入・洋酒など)
⑧処理区分(新規・相続・移転・法人成り等・条件緩和)

⑧処理区分については、新規取得だけでなく、相続などその他の手続の場合でも公表されます。

公表は1ヶ月分をまとめて行われます。
国税庁のホームページでの公表のほか、税務署の総合受付の窓口にあるファイルでも公表内容を確認できます。
次のように公表されます。

【国税庁ホームページ 免許の新規取得者名等一覧】
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/menkyo/shinki/01.htm

公表内容の深掘り解説

免許の細かな条件は公表されませんが、「いつ」「誰が」「どこで」「どのような」という情報がわかります。

免許等年月日と申請等年月日の間隔は2ヶ月~2.5ヶ月ぐらいが多いです。
この感覚があまりに短い、または長いと、免許付与手続の透明性・統一性が図れません。

そのため、税務署の酒類指導官部門では申請から3ヶ月が経過すると、管理者である酒類指導官からチェックが入る仕組みになっています。

私が免許審査・交付していたときには、申請日から免許日の間隔を意識しながら、不公平とならない範囲で申請者の要望に合わせた処理を行っていました。

免許等年月日と申請等年月日の間隔の傾向

免許等年月日と申請等年月日の間隔には傾向があります。

酒類指導官部門がある税務署(一部の税務署のみ)では、この間隔が短い傾向にあります。

酒類指導官部門についての詳細は、こちらのブログで解説しています。
https://ishihide-tax.com/alcohol/%e9%85%92%e9%a1%9e%e8%b2%a9%e5%a3%b2%e6%a5%ad%e5%85%8d%e8%a8%b1%e5%8f%96%e5%be%97%e5%be%8c%e3%81%ab%e8%a1%8c%e3%82%8f%e3%82%8c%e3%82%8b%e7%a8%8e%e5%8b%99%e7%bd%b2%e3%81%ae%e8%aa%bf%e6%9f%bb%e3%80%90/#index_id2


免許等年月日と申請等年月日の間隔に差がある理由は、税務署内での決裁の流れなどに違いがあるからです。

酒類指導官部門がある税務署(以下、中心署)は、「酒類指導官の決裁(中心署)」「税務署長の決裁(中心署)」という流れです。

酒類指導官部門の職員は中心署に在籍し、中心署の税務署長のスケジュールが空いていれば、すぐに決裁となります。
そのため、決裁から免許交付までがスムーズに進みます。

一方、酒類指導官部門がない税務署(以下、対象署)は「酒類指導官の決裁(中心署)」「法人1部門統括官の決裁(対象署)」⇒「税務署長の決裁(対象署)」という流れです。

対象署のお酒の事務は、定期的に中心署から対象署に出向いて行います。
対象署の決裁のスケジュールを調整した上、対象署に出向かなければならないため、決裁に時間がかかります。
スケジュール調整がうまくいかなければ、決裁のためだけに、臨時で出向くということもあります。

以上のように、酒類指導官部門がある税務署とそうでない税務署で、決裁にかかる手間と時間に違いがあります。
そのため、免許等年月日と申請等年月日の間隔の長短に影響せざるを得ません。

その分、対象署の免許申請において、申請日から免許日までの間隔を短くすることが、免許審査担当の職員の腕の見せ所と言えます。

ちなみに、国税組織には電子決裁の仕組みがありますが、簡単な文書を除いて、あまり活用されていません。
紙ベースの決裁の方が決裁者にとって見やすく、決裁文書を作成する職員にとってもスキャン等する手間がないからです。

その他公表内容からわかること

税務署ごとの情報もあるため、同じ税務署で複数の免許があり、それが数ヶ月続いていると「酒類指導官部門でこの税務署を担当する職員は大変そうだな」ということもわかります。

公表内容をそこまで分析する必要はまったくありません。
ただ、免許審査を担当する職員側の情報は重要です。

情報があることで、税務署内の決裁スケジュールを踏まえたやり取りができるなど、免許審査・取得のスピードを速くできる可能性があります。

販売場を所轄する税務署が対象署であれば、特にその効果が大きいです。

最後に

いしい税理士・行政書士事務所の行政書士は、免許審査・交付を1,000件超行っていましたので、税務署内の決裁事情などに精通しています。
必要に応じて、決裁がスムーズに進むよう免許申請の補足書類なども作成しています。

スピーディー・確実な免許取得をご希望の方は、ぜひ当事務所にご依頼ください!

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この記事を書いた人

関東の国税局・税務署で法人の税務調査や酒類業免許審査担当などに従事。
業界の手本と言える高付加価値サービスを提供する税理士法人で実務経験を積み、出身地である八尾市にて独立開業。
現在、法人の税務顧問に特化した税理士事務所と、酒類販売業免許専門の行政書士事務所を経営するとともに、令和7年度 大阪市産創館の経営サポーターとしても活動。