資本性借入金とは?メリット・デメリットと通常の融資との違いを中小企業診断士が解説

「追加融資を受けたいが、すでに借入が多くて難しい…」 「銀行から自己資本比率の低さを指摘された…」 「赤字だが、成長投資のための資金を調達したい…」
そんなときに選択肢となるのが 資本性借入金(資本性ローン) です。
通常の融資とは仕組みが大きく異なり、金融機関の評価上は「自己資本」とみなされるという特徴があります。あまり知られていない制度ですが、使いこなせば中小企業の資金繰りを大きく改善できます。
この記事では、中小企業診断士でもある税理士が、資本性借入金の仕組み・メリット・デメリット・審査のポイントまでをわかりやすく解説します。
資本性借入金とは?通常融資との違いを一覧で確認

資本性借入金とは、金融機関の評価上は「自己資本」とみなされ、会計上は「借入金(負債)」となる融資のことです。
「資本性ローン」「資本性劣後ローン」とも呼ばれ、日本政策金融公庫・商工中金・民間金融機関などが取り扱っています。
通常の借入金は毎月の返済負担がありますが、資本性ローンの返済は基本的に 「期限の最後に一括」 であり、それまでの間は毎月の元本返済が不要です。
通常融資と資本性借入金の違い(比較表)
| 項目 | 通常の融資 | 資本性借入金(資本性ローン) |
|---|---|---|
| 元本の返済 | 毎月分割返済 | 原則、期日に一括返済 |
| 金利 | 固定・変動が一般的 | 業績連動型(赤字時は低利、黒字時は高利) |
| 担保・保証 | 必要な場合が多い | 無担保・無保証 |
| 金融機関の評価 | 負債として評価 | 自己資本として評価 |
| 返済順位 | 一般債権と同順位 | 劣後(倒産・清算時は後回し) |
| 赤字企業の利用 | 難しい | 将来性があれば利用可能な場合あり |
| 審査 | 比較的短期 | 厳しい(事業計画書等が必須) |
資本性借入金の3つの仕組み

資本性借入金には、通常融資と異なる特徴的な仕組みがあります。
返済は最後にまとめて(期日一括返済)
通常の融資では毎月の元本返済が必要ですが、資本性借入金は原則として 契約期間の最後にまとめて返済 します。
つまり契約期間中は元本返済がなく、その分だけ資金繰りに余裕を持たせることができます。
金利は業績に応じて変動(業績連動型)
資本性借入金の金利は 「業績連動型」 です。
赤字の場合は非常に低い利率(0.5〜1.0%程度)で済む場合がありますが、利益が出ると段階的に金利が上がり、4〜5%になるケースもあります。
返済順位が低い(劣後性)
資本性借入金のほとんどが劣後タイプであり、倒産や清算の際の返済順位は 一般の借入金よりも後回し になります。
だからこそ金融機関は「この借入は資本に近い」と評価し、自己資本として扱ってくれるのです。
資本性借入金のメリット

経営者にとって、資本性借入金には次のようなメリットがあります。
資金繰りが安定する
契約期間中は元本返済が発生しないため、資金繰りに余裕が生まれます。
通常の融資では赤字企業は借りにくいですが、資本性借入金は 「赤字でも将来性がある」 と判断されれば借りられる可能性があります。
なお、金融庁における資本性借入金の定義は「返済期間が5年超・期日一括返済」です。日本政策金融公庫の資本性ローンは、返済期間が 「5年1ヶ月から最長20年以内」 となっています。
財務体質(自己資本比率)が改善する
自己資本として扱われるため、自己資本比率が改善 します。
これにより銀行の評価が高まり、追加の融資を受けやすくなるという好循環が期待できます。
無担保・無保証で利用できる
資本性借入金は 無担保・無保証 です。提供できる担保がない中小企業にとっては大きなメリットといえます。
資金調達でお悩みの経営者の方へ
「自社が資本性借入金を使えるのか知りたい」「事業計画書の作り方がわからない」——そんな段階のご相談も歓迎です。中小企業診断士の税理士が、金融機関の評価を意識した資金調達をサポートします。
→ 初回60分 無料相談はこちら
資本性借入金のデメリット・注意点

メリットの大きい制度ですが、デメリットや注意すべき点もあります。
黒字時は金利が高くなる
黒字が出ると金利が段階的に上がる仕組みのため、一般的な融資よりも金利負担が大きくなることがあります。
たとえば公庫の「挑戦支援資本強化特別貸付」の利率(年)は、業績(税引後利益額)に応じて段階的に設定 されています。赤字期の資金繰りを支える分、会社が順調に成長しているときには負担が増える点に注意が必要です。
繰り上げ返済ができない場合がある
金利負担を軽くするために繰り上げ返済を考えるかもしれませんが、資本性借入金は 基本的に繰り上げ返済ができません。ただし、借入から5年経過後は繰り上げ返済が認められる場合があります。
将来の一括返済に備えが必要
契約期間終了時には、元本を一括で返済しなければなりません。その資金をどう確保するか、事前に計画しておく 必要があります。
契約条件によって自己資本評価が変わる
返済条件や劣後性の有無により、財務諸表上の扱い(自己資本的評価を受けられるか)が変わります。契約内容の確認には注意が必要です。
審査が厳しい
返済順位が一般の借入金よりも後回しになる分、審査は厳しめ です。税理士や中小企業診断士の支援を受けながら、事業計画書をはじめ多くの書類を作成・提出することが事実上必須となります。
資本性借入金を利用できる制度の例

資本性借入金は、主に次の制度を通じて利用できます。
日本政策金融公庫「挑戦支援資本強化特例制度」
新規事業・経営改善・企業再建などに取り組む方で、地域経済の活性化に資する事業(一定の雇用効果、地域社会に不可欠な事業、技術力の高い事業など)に取り組む方が対象です。赤字でも利用可能な場合があります。
この制度は劣後タイプではありませんが、金融機関の評価上は自己資本とみなされると明記されています。 詳しくは日本政策金融公庫の公式ページをご確認ください。
商工中金・各金融機関の資本性劣後ローン
主に地域企業向けに資本性劣後ローンを提供しています。公庫または商工中金と、民間金融機関による 協調融資 が前提になるケースが多くなっています。
信用保証協会の資本性ローン保証制度
民間金融機関を通じて利用できる仕組みで、信用保証協会が一定割合を保証します。
どんな会社に資本性借入金が向いている?

資本性借入金は、特に次のような会社に向いています。
- 債務超過の会社:自己資本比率を改善し、金融機関からの信頼を回復できる
- 成長投資を計画している会社:先行投資で一時的に赤字になっても資金調達しやすい
- 設立して間もない会社:まだ利益が出ていなくても調達できる可能性がある
よくある質問(FAQ)

Q. 資本性借入金は赤字でも借りられますか?
A. 「赤字でも将来性がある」と判断されれば借りられる可能性があります。資本性借入金は金融機関の評価上は自己資本とみなされるため、通常融資が難しい赤字・債務超過の企業でも選択肢になります。ただし審査は厳しく、説得力のある事業計画書が必要です。
Q. 資本性借入金の返済方法は?
A. 原則として契約期間中は元本返済がなく、期日に一括返済します。金融庁の定義では「返済期間が5年超・期日一括返済」とされています。
Q. 資本性借入金の金利はどのくらいですか?
A. 業績連動型のため、赤字時は0.5〜1.0%程度と低利ですが、利益が出ると段階的に上がり4〜5%になるケースもあります。
Q. 資本性借入金は繰り上げ返済できますか?
A. 基本的にはできません。ただし、借入から5年経過後は繰り上げ返済が認められる場合があります。
Q. 資本性借入金はどこで借りられますか?
A. 日本政策金融公庫の「挑戦支援資本強化特例制度」、商工中金や各金融機関の資本性劣後ローン、信用保証協会の資本性ローン保証制度などを通じて利用できます。
まとめ:制度を「知っているか」で資金調達は変わる

資本性借入金は、制度を知っているかどうかで資金調達の選択肢が大きく変わる分野です。同じ決算書でも、
- 金融機関に評価される会社
- 評価されない会社
に分かれるのは、数字の背景説明と中小企業を支援する中小企業診断士や顧問税理士の実力の差です。
当事務所では、単なる税務顧問にとどまらず、金融機関がどう評価するかを意識した決算・事業計画・資金調達支援を行っています。元国税調査官として税務調査の現場を、中小企業診断士として経営の現場を見てきた視点から、自社に合った資金調達の道筋を一緒に考えます。
「今すぐ借りたいわけではないが、将来に備えたい」 「一度、第三者の目で財務を見てほしい」そんな段階のご相談も歓迎です。事業計画書の作成が必要な場合も含め、状況に応じてサポート可能です。
免責事項
当ブログのコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。










