【令和8年9月実施】国税システム更改で何が変わる?企業や実務担当者が押さえるべき変更点と対策

いよいよ今年、令和8年(2026年)9月24日に国税システムの更改(KSK⇒KSK2)が予定されています。

KSK2により「税務調査の未来が変わる」ことは過去のブログで解説済ですが、「書類の様式変更」「e-Tax環境の変化」も実務で大きな影響を与えます。

特に、e-Taxの長期停止期間の発生や、IPアドレス仕様の変更(固定IPの廃止)などは、実務の現場でトラブルやリスクとなるおそれがあります。知っているか知らないかで結果が変わる分、早めの事前対策が求められます。

今回のブログでは、企業や税理士事務所が今から準備しておくべきポイントを分かりやすく解説します。

目次

システム更改の内容

まずは全体像を把握しましょう。今回の更改による影響は、大きく以下の3点に集約されます。

  • 様式の大規模な刷新: 約1,800件の申告書・届出書が対象。控用の廃止や原則白黒化
  • 納付書の仕様変更: 番号体系や用紙サイズ、記載項目の見直し
  • e-Taxの環境変化: 9月の長期停止期間と、固定IPアドレスから動的IP(URL接続)への移行

様式の変更・刷新(1,793件)

「自社に関係ある帳票だけ見ればいい」は通用しません。対象となる様式を確認したところ合計1,793件にのぼり、個人・法人問わず幅広い税目に影響します。変更対象の主な内訳は次のとおりです。

  • 相続・贈与税関係: 369件
  • 申告所得税関係: 218件
  • 法人税関係: 156件
  • 酒税・消費税・法定資料関係: 各100件以上

様式変更対象の詳細はこちらからExcelでダウンロードできます(リンク元:国税庁ホームページの「国税システムの更改について」)。

スケジュールは、今年の秋に一気に切り替わるわけではなく、早いものは6月頃から順次公開され、受付がスタートします。

公開予定時期件数
令和8年6月頃1,132件
令和8年8月頃500件

※件数はAIによる集計

所得税徴収高計算書(納付書)の変更

日常的に扱う機会が多い「所得税徴収高計算書(納付書)」には、複数の変更点があります。手書き運用をしている企業や事務所は、社内マニュアルの更新が必要かもしれません。

主な変更点は次のとおりです。

識別番号の変更: 従来の「整理番号(8桁)」から、システムで自動採番される「お問い合わせ番号(13桁)」へ変更
※税務署窓口で配付される用紙にはあらかじめ印字されるため、手書きは不要

記載欄の追加: 「納期等の区分」に元号欄が追加。「徴収義務者」欄に郵便番号とフリガナが追加

用紙サイズの変更: 税務署窓口で配付する納付書は、現行の「A4三つ折りサイズの複写式」から「A4サイズの単票式」へ変更
※年末調整時期に送付されるものは引き続き複写式を予定

💡 移行期間について

現行の複写式納付書も、令和10年9月頃まではそのまま使用可能の予定です。手元に在庫がある場合でも急いで廃棄する必要はありません。なお、新しいA4単票式のイメージ画像は、今年6月下旬頃に国税庁ホームページで公開される予定です。

e-Taxの長期利用停止期間と接続仕様の変更

経理部門だけでなく、情報システム部門を巻き込んだ対応が必要になる可能性があります。

① e-Taxの長期利用停止期間

システム更改に伴い、以下の期間はe-Taxが利用できなくなります。申告・申請・届出などは期限を確認した上で、データ送信・納付のスケジュールを前倒しするなど、事前の調整が不可欠です。

  • 令和8年9月19日(土)0:00 ~ 9月24日(木)8:30
  • 令和8年9月26日(土)0:00 ~ 24:00

② 固定IPアドレス接続の見直し

セキュリティ機器や社内ネットワークで「IPアドレス」を指定してe-Taxに接続している企業は要注意です。 更改に伴い、e-TaxのIPアドレスは固定型から動的型へ変更されるため、令和8年9月24日以降はURLでの接続へ切り替える必要があります。

お使いの業務ソフトの設定や社内ネットワークの通信許可(ファイアウォール設定・セキュリティ機器)を見直すため、IT部門との連携・接続設定の事前テストが必要になりそうです。

スムーズな移行の準備

スムーズに移行するための「チェックリスト」を作成しました。

□ システム接続設定の確認
□ 使用している帳票(申告書・届出書・納付書)の洗い出し
□ 新様式の公開時期確認(国税庁や税務署からのお知らせ)
□ 社内マニュアルの更新
□ e-Tax停止期間の共有
□ 業務スケジュールの前倒し

まとめ

令和8年9月24日の国税システム更改は「制度改正」ではなく「業務変更」であり、全国民に影響があります。

「1ヶ月前ぐらいから対応しよう」という後手のアプローチは、思わぬ業務停滞やトラブルを招く可能性があります。今のうちから関係帳票の確認やマニュアルの更新、システム担当者との連携を進めておくことで、9月の混乱は回避できます。

秋の本格稼働に向けて余裕を持ったスタートを切りましょう!

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この記事を書いた人

関東の国税局・税務署で10年以上、法人の税務調査や酒類業免許審査担当などに従事。在籍中に中小企業診断士登録。その後、高付加価値サービスを提供する税理士法人で実務経験を積み、より多くのお客様に向き合うため独立開業。
顧問先様の「税務調査ゼロ」を掲げ、年間30件以上の創業支援を手がけるとともに、酒類販売免許に強い行政書士として活動。令和7年度からは大阪産業創造館の「経営サポーター」として大阪の経営者を多角的に支えている。

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