KSK2とは?税務調査の「選ばれ方」が変わる3つの理由を元国税調査官が解説

こんばんは!八尾市のいしい税理士・行政書士事務所の石井です。

2026年9月24日、国税組織の次世代システム「KSK2」がいよいよ運用開始されます。

残り約3ヶ月。税務調査の「選ばれ方」と「調べられ方」が、これまでとは根本的に変わります。「うちは正しく申告しているから大丈夫」そう思っている経営者ほど、KSK2の影響を把握しておく必要があります。

このブログでは、税務職員として実際にKSK(現行システム)を使っていた税理士が、KSK2によって税務調査が具体的にどう変わるかを解説します。ネットにない現場目線の情報も含めて書いていますので、ぜひ最後までお読みください。

なお、このブログはKSK2移行による「税務調査編」です。KSK2移行で経理・申告の現場で対応が必要なことは下のブログで解説しています。

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目次

KSK2とは?現行KSKとの違いをわかりやすく解説

そもそもKSKとは?

モニターの画像は国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/report/2021/02_6.htm より

KSK(国税総合管理システム)とは、国税庁・全国11ヶ所の国税局・524ヶ所の税務署を専用ネットワークでつないだコンピュータシステムです。「KOKUZEI SOUGOU KANRI」の頭文字をとって「KSK」と略されます。

1995年から順次導入が始まり、2001年に全国展開が完了。以来20年以上にわたって、納税者の申告・納税情報をデータベースで一元管理してきました。

税務調査との関係でいえば、調査先の選定・資料情報の管理・調査書類の作成など、調査のほぼすべての場面でKSKが使われています。

KSKとKSK2の違い|比較表

項目KSK(現行)KSK2(2026年9月〜)
データ管理の単位税目別(法人税・所得税など個別)納税者単位で税目横断
外部からのアクセス不可(税務署内のみ)可能(調査先からリアルタイムアクセス)
インターネット連携なしあり(外部データの取り込みも可能)
e-Taxとの関係別システム(都度連携が必要)KSK2に統合
申告書の形式紙・電子が混在AI-OCR対応の統一様式へ変更
AIによる分析限定的将来的にAI活用による異常値分析が予定
システム基盤メインフレーム(独自OS)オープンシステム(汎用OS)へ刷新

KSK2で税務調査はどう変わるか|経営者が知るべき3つの変化

① 税目をまたいだ「整合性チェック」が自動化される

現行のKSKは、法人税・所得税・消費税などの税目が別々のデータベースで管理されています。そのため、税目間の整合性を調べるには調査官が手作業でデータを突き合わせる必要がありました。

KSK2では、納税者単位で税目を横断して情報管理されます。

具体的には次のような影響があります。

  • 法人税申告書の「役員報酬」と、代表者の所得税申告書の「給与所得」が一致しているか
  • 法人の売上規模と代表者の生活水準(資産購入・不動産など)に不自然な乖離がないか

このような税目間の整合性チェックが、システムで自動的に行われるようになります。

私が調査官だったころ、代表者の所得税申告を確認するには、個人課税部門まで出向いて紙の管理簿に記録し、紙の申告書を取り寄せるという手間が必要でした。KSK2ではこれがパソコン上で即座に完結します。

調査官の手間が省かれた分、1件あたりの調査の深さが増すことは間違いありません。

【元国税調査官の視点】
役員報酬の設定根拠、代表者個人の資金の流れ、税目間の数字の整合性などを説明できる状態にしておくことが、KSK2時代の税務調査への備えの第一歩です。

② 調査官が「その場でデータベースにアクセス」できるようになる

現行のKSKは、税務署の内部ネットワークにしかつながっていません。調査官が会社に訪問中に納税者情報や資料情報(国税組織においては「資料せん」と呼びます。)を確認したいと思っても、税務署や国税局に戻るまで調べられませんでした。

KSK2では、調査官が調査先からKSK2にリアルタイムアクセスできるようになります。

これがどれほど革命的か!国税組織では、個人情報が含まれる書類を建物の外に1枚持ち出すだけでも、管理者の許可と書類への記録が必要なほど厳格な管理体制です。その組織が外部アクセスを認めるということは、それだけ調査の効率化・深度化が求められているということです。

特に影響が大きいのは、国税局が担当する大規模法人への調査です。国税局の管轄は複数都道府県にまたがるため、数週間〜数ヶ月にわたって宿泊しながら調査を行うことも珍しくありません。国税局に戻らずにデータベースへアクセスできることは、調査官にとって大きなメリットです。

また、インターネットとKSK2がつながることで、各種業界の指標・統計データや外部機関からの情報もKSK2に取り込まれるようになります。地方公共団体・金融機関などへの照会もデジタル化される見込みです。

当面は手探りの運用になるでしょうが、中長期的には調査の網の目が格段に細かくなっていくでしょう。

【元国税調査官の視点】
調査官が現場でリアルタイムに情報を確認できる時代になります。「後で税務署に戻ってから確認される」という前提は通用しなくなり、その場で深い検討、ときに追及が行われます。

③ 申告書の様式変更とe-Tax統合で、内部事務が効率化→調査件数が増える可能性

KSK2は「紙からデータ」への転換を掲げており、各種申告書がAI-OCR対応の新様式に変更される予定です。そのため、確定申告書の書式も変わります。

また、現行では別システムとして運用されているe-TaxがKSK2に統合されます。これにより、電子申告データのKSKへの取り込み作業や、連携エラーによる処理遅延といった内部事務の非効率が解消されます。

内部事務が効率化されれば、その分の人員を調査部門に充当できます。税務調査の件数増加につながる可能性があるという点で、経営者にとって見逃せない変化です。

よくある質問(FAQ)

Q. KSK2とは何ですか?
A. KSK2は、国税庁が2026年9月24日から運用する次世代の国税総合管理システムです。現行KSKが税目ごとにデータを管理していたのに対し、KSK2は納税者単位で複数税目を横断して管理する点が最大の特徴です。

Q. KSK2はいつから始まりますか?
A. 令和8年(2026年)9月24日に運用開始予定です。なお、申告書様式の切り替えは令和8年6月頃から順次始まります。

Q. KSK2で税務調査は厳しくなりますか?
A. 税目間の整合性チェックの自動化や、調査現場からのリアルタイムアクセスにより、調査の選定精度と深度が上がります。「何となく数字が合っている」申告は通用しない時代がやって来ます。

Q. 現行KSKとKSK2の一番の違いは?
A. データ管理の単位です。現行は税目別、KSK2は納税者単位の税目横断管理になり、法人税の役員報酬と代表者個人の所得税などの整合性が即座に確認できるようになります。

まとめ|KSK2時代に必要な「正しい申告」とは

KSK2の運用開始により、税務調査は以下のように変わります。

  • 税目ごとの縦割り → 納税者単位での横断的な整合性チェックへ
  • 税務署内での事後確認 → 調査現場でのリアルタイム確認へ
  • 紙ベース・アナログ管理 → データ中心・AI活用へ

これからの時代に通用しなくなるのは、「何となく数字が合っている」申告です。 事業内容・取引の実態・税目間の整合性まで、きちんと説明できる決算申告書が求められます。同時に、税務調査の確率を下げる書面添付の価値が上がります(高品質のものに限る)

元国税調査官として現場でKSKを使ってきた立場から見ても、KSK2は単なるシステム更新ではなく、税務調査のあり方そのものを変える影響をもたらします。

2026年9月まで、あと約3ヶ月。 今から備えることが、将来の調査リスクを下げる最善の手です。当事務所では、顧問先様の事業の実態や取引内容を丁寧に理解・把握した上で、将来の税務調査を見据えた会計処理・申告を行っています。

「税務調査に漠然とした不安がある」「役員報酬や税目間の整合性に自信がない」「KSK2時代を見据えた顧問税理士を探している」このような方は、税務調査に強い私たちにお任せください。

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当事務所では無料相談を実施しています。 今の経理体制や顧問税理士に不安がある方は、税務調査対策や税理士変更のアドバイスのほか、決算書を用いた税務リスクの無料チェックも行っていますので、お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

関東の国税局・税務署で10年以上、法人の税務調査や酒類業免許審査担当などに従事。在籍中に中小企業診断士登録。その後、高付加価値サービスを提供する税理士法人で実務経験を積み、より多くのお客様に向き合うため独立開業。
顧問先様の「税務調査ゼロ」を掲げ、年間30件以上の創業支援を手がけるとともに、酒類販売免許に強い行政書士として活動。令和7年度からは大阪産業創造館の「経営サポーター」として大阪の経営者を多角的に支えている。趣味はダンス・筋トレ・ゲーム

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