眼科医はなぜ税務調査で狙われる?申告漏れ「全業種2位」の理由5つを元国税調査官が解説

【2026.6更新】

国税庁の最新データ(2025年12月発表)で、興味深い結果が公表されました。

「申告漏れ所得金額(1件あたり)」のランキングで、眼科医が全業種の中で圏外から一気に第2位にランクインしたのです。1位がキャバクラなどの「接待飲食店」であることを考えると、医療機関としては異例の数字です。

私は元国税調査官として、医療機関を含む多くの税務調査に携わってきました。実際に当事務所の顧問先様からも「なぜ眼科医に申告漏れや不正が多いのか?」という質問をいただきます。

この記事では、知的なイメージの強い眼科医がこれほど税務調査で狙われる5つの理由と、調査官が実際にチェックするポイントを解説します。

目次

眼科医が税務調査で狙われる5つの理由【一覧表】

まず全体像です。理由と調査官のチェックポイントを表にまとめました。

狙われる理由調査官がチェックするポイント
① 高額な自由診療(現金商売×高単価)窓口現金・カード決済の売上計上、期ズレ
② コンタクト販売店との不透明な関係親族・グループ会社への利益付け替え、在庫
③ 高回転・高収益の手術モデルレジ集計・予約システム・カルテ件数の突合
④ メーカーへの反面調査レンズ仕入数と手術件数・在庫の整合性
⑤ 私的経費の計上(公私混同)高級車リース、家族旅行の研修費化、親族給与

それぞれ詳しく見ていきましょう。

理由① 高額な「自由診療(自費)」の存在

眼科は保険診療だけでなく、多額の現金が動く「自由診療」が非常に多いのが特徴です。

  • レーシック手術やICL(眼内コンタクトレンズ)
  • 多焦点眼内レンズを用いた白内障手術
  • オルソケラトロジー(夜間用コンタクト)

これらは1回の手術で数十万円の費用がかかります。

窓口での現金支払いやカード決済が多く、現金については意図的に売上から除外したり、翌期に計上をずらしたりする「操作」が起こりやすいため、税務署から厳しくチェックされています。

理由② コンタクトレンズ販売店との「不透明な関係」

多くの眼科には、隣接するコンタクトレンズ販売店があります。ここが「税金の逃げ道」になりやすいのです。

本来はクリニックの利益にすべき分を、親族が経営する販売店やグループ会社などに付け替え、全体の税負担を軽減しようとするケースが目立ちます。

グループや親族経営の会社を使った利益操作は眼科医に限らず、不正の温床となりやすい類型です。また、経営者単独で利益操作ができる「在庫」を利用した不正も多く、在庫は調査官が必ずチェックする項目です。

理由③ 「高回転・高収益」の手術モデル

眼科の手術(特に白内障)は、他の外科手術に比べて短時間で終わります。熟練した医師であれば、1日に数十件もの手術を行うことも珍しくありません。

税務署は「現金商売×高単価」の業種を特に重視します。レジ集計、予約管理システム、カルテ件数との突合は調査の定番です。

理由④ メーカーとの「突き合わせ調査」の徹底

「バレないだろう」という甘い考えが通用しないのが、現代の税務調査です。

税務署は、レンズの卸業者やメーカーに対して「反面調査」を行います。

「メーカーから100枚のレンズを仕入れているのに、申告された手術が80件しかないのはなぜか?」

このように、材料の仕入れ数・手術件数・在庫が合わなければ、言い逃れはできません。データのデジタル化により、この「突き合わせ」の精度は年々上がっています。

親族が経営する販売店やグループ会社がある場合は、複数の法人・店舗を「同時」に調査することもあります。

理由⑤ 公私混同による「私的経費」の計上

これは高所得な医師全般に言えることですが、節税のために個人的な支出を経費に混ぜるケースです。

  • 高級車のリース代をすべて経費にする
  • 家族旅行を「学会出席」と称して研修費にする
  • 親族への不当に高い給与支払い

こうした「公私混同」は、プロの調査官の手にかかればすぐに見抜かれてしまいます。

【参考】医療業界の会計・税務の実情

眼科に限らず、医療機関は高額な設備投資が多い業種です。また、日ごろの忙しさから経理を丸投げしてしまい、会計や税務の管理が手薄になりがちです。

不正がなかったとしても、減価償却費の計算や在庫計算などで多額の申告誤りが発生しやすいのも特徴です。

税務調査は「効率」が重視されます。1件あたりの追徴税額が大きい業種は、今後も重点調査対象となります。眼科以外の診療科(美容外科など)も、今後は重点的に調査されていくと考えられます。

よくある質問(FAQ)

Q. 眼科医の申告漏れは全業種で何位ですか?
A. 国税庁が2025年12月に公表したデータでは、「申告漏れ所得金額(1件あたり)」のランキングで眼科医が全業種中第2位です。1位は接待飲食店でした。

Q. 眼科の税務調査では何を特にチェックされますか?
A. 自由診療(レーシック・ICL・多焦点眼内レンズ等)の現金売上、レンズの仕入数と手術件数・在庫の整合性、親族経営のコンタクト販売店との取引、私的経費の計上などが重点的にチェックされます。

Q. 不正をしていなくても税務調査の対象になりますか?
A. なります。眼科を含む医療機関は1件あたりの追徴税額が大きい業種として重点調査対象になりやすく、不正がなくても減価償却や在庫計算の誤りを指摘されるケースが多くあります。

【まとめ】「なんとなくの申告」が通用しない時代へ

眼科医が税務調査で狙われる5つの理由を解説しました。

2026年9月以降、国税庁の次世代システム「KSK2」が導入され、税務調査や情報分析の精度はさらに高まると見込まれています(税務調査への影響はこちらの記事で解説しています)。

これまで以上にデータに基づく分析が進み、「なんとなくの申告」では通用しない時代になります。形式的に帳簿を整えるだけでなく、事業の実態を踏まえた、説明可能な会計処理が求められます。

当事務所では、元国税調査官の税理士が税務調査対策を標準サービスとして提供しています。さらに、税務調査の確率を大幅に下げる「書面添付」にも取り組み、顧問先様の「税務調査ゼロ」を目指しています

創業間もない方、経理体制に不安を感じている方、将来を見据えて正しい決算申告を行いたい方は、日ごろの処理と早めの対策が重要です。

無料相談を実施していますので、お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

関東の国税局・税務署で10年以上、法人の税務調査や酒類業免許審査担当などに従事。在籍中に中小企業診断士登録。その後、高付加価値サービスを提供する税理士法人で実務経験を積み、より多くのお客様に向き合うため独立開業。
顧問先様の「税務調査ゼロ」を掲げ、年間30件以上の創業支援を手がけるとともに、酒類販売免許に強い行政書士として活動。令和7年度からは大阪産業創造館の「経営サポーター」として大阪の経営者を多角的に支えている。趣味はダンス・筋トレ・ゲーム

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