確定申告後に税務署から連絡・お尋ねが来たら?元国税調査官が教える正しい対応

確定申告が終わってひと息ついた頃、突然かかってくる税務署からの電話。あるいは「申告内容についてのお尋ね」と書かれた封筒が、ある日ポストに届く。「何かやらかした!?」と、心臓が止まりそうになりますよね。

でも、ちょっと待ってください。確定申告後に来るその連絡、じつは「税務調査」ではない可能性が高いです。

実務では「簡易な接触」と呼ばれる行政指導であることがほとんどで、税務調査とはまったくの別物です。ただし、軽く見ると痛い目に遭います。

この記事では、確定申告後に税務署から連絡・お尋ねが来たときに、慌てず・損をせず対応するための手順を、元国税調査官の視点から解説します。

「そもそも簡易な接触とは?」「行政指導と税務調査の法的な違いを詳しく知りたい」という方は、先にこちらの記事をご覧ください。
税務署からの電話・お尋ねは「税務調査」?簡易な接触(行政指導)の正しい対応法

目次

確定申告後に税務署から連絡・お尋ねが来るのはなぜ?

確定申告期間(毎年3月中旬)が終わった直後から初夏にかけて、税務署からの「お尋ね」や電話は増加します。理由はシンプルで、提出された大量の申告書を、税務署がこの時期にまとめて点検・照合しているからです。

確定申告後に連絡が来やすいのは、たとえば次のようなケースです。

  • 前年と比べて所得や売上が大きく変動している
  • 経費の比率や特定の勘定科目が同業他社と比べて目立つ
  • 不動産の購入・売却、相続などの大きな資金移動があった
  • 提出書類に計算ミスや記載漏れの疑いがある
  • 他の資料(支払調書・取引先情報など)と数字が一致しない

つまり、何らかの理由で目に留まったサインだと考えてください。

その連絡、「税務調査」ではなく「簡易な接触(行政指導)」かもしれません

確定申告後に来る連絡の多くは、強制力のある「税務調査」ではなく、お願いベースの確認=簡易な接触(行政指導)です。両者はまったく別物で、最大の違いは加算税(ペナルティ)の有無にあります。

比較項目簡易な接触(行政指導)税務調査
強制力なし(任意の協力依頼)あり(受忍義務)
修正したときの加算税原則なし(自主的な見直し扱い)あり(指摘による修正扱い)

同じ「修正申告」でも、どちらの文脈で行うかで加算税の有無が変わることは必ず押さえてください。

なぜ今、確定申告後の連絡が増えているのか?──AIとKSK2

AIのイメージ画像です

「最近、まわりでも税務署から連絡が来た人が多い」と感じるのは気のせいではありません。税務行政は、いま大きく変わっています。国税庁の最新データ(令和7年12月公表資料)では、次のような傾向がはっきり出ています。

  • 実地調査の件数 → 減少
  • 簡易な接触の件数 → 増加
  • 1件あたりの追徴税額 → 大幅増

コロナ禍以降、「数撃ちゃ当たる」の時代は終わりました。AI+KSK(国税総合管理システム)で“怪しい申告”を絞り込み、狙い撃つ戦略へとシフトしています。

そして2026年9月には、さらに強力な「KSK2」が本格稼働します。これにより、これまで見逃されていた「ちょっとした違和感」も高確率で捕捉されるようになり、確定申告後の電話・お尋ね・来署依頼は今後さらに増えると見ておくべきです。

あわせて読みたいKSK2で税務調査はどう変わる?中小企業経営者が今すぐ知るべき3つのポイント

「申告内容についてのお尋ね」が届いたら?対応3ステップ

封筒が届いて頭が真っ白になっても、やるべきことはシンプルです。次の3ステップで落ち着いて対応しましょう。

ステップ1:無視しない/焦って即答もしない

お尋ねは放置が最悪手です。回答期限が設けられていることが多く、無視すると「より踏み込んだ確認(=調査)」に発展するリスクがあります。一方で、慌てて電話口で口頭回答するのもNG。まずは封筒の内容・回答期限・問い合わせ先を冷静に確認します。

ステップ2:根拠資料を手元にそろえる

お尋ねは「申告内容を裏づける資料はありますか?」という確認です。該当する領収書・契約書・通帳・計算根拠などを集め、申告した数字を説明できる状態を作ります。ここで整理しておけば、万が一その後に調査へ移行しても慌てません。

ステップ3:そのまま回答してよいか、専門家に一度相談する

「単純な記載ミスの確認」なのか「修正申告を促す指摘」なのかで、対応も影響もまったく変わります。加算税がかかるかどうかの分岐点になるため、回答前に税理士へ一度相談するのが安全です。特に金額が大きい場合や、相続・不動産がからむ場合は自己判断を避けましょう。

税務署からの電話で必ず確認すべきこと

確定申告後の対応で、実務上もっともトラブルが多いのが電話でのやりとりです。

税務署からの電話は、「行政指導(簡易な接触)」なのか「税務調査の事前通知」なのか区別が曖昧なまま話が進むことが少なくありません。うっかり説明してしまい、後から「あの電話は調査での指摘でした」と扱われると、本来は不要だった加算税が発生するリスクがあります。

そこで、本題に入る前に必ずこの一言を入れてください。

「今回のご連絡は、行政指導(簡易な接触)としてのご連絡でしょうか? それとも税務調査の事前通知でしょうか?」

行政指導であれば、税務署側は法律に基づき、その趣旨・内容・担当者を説明する義務があります。「これは行政指導です」という言質を取ること。これが、余計な加算税を払わないための鉄則です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 確定申告後に税務署から電話が来たら、税務調査ですか?
A. 必ずしも税務調査とは限りません。確定申告後の電話は、強制力のない「簡易な接触(行政指導)」であることが多いです。まず「行政指導ですか? 税務調査の事前通知ですか?」と確認しましょう。

Q2. 「申告内容についてのお尋ね」は無視してもいいですか?
A. 無視は避けてください。回答期限が設けられていることが多く、放置するとより踏み込んだ確認(調査)へ発展するおそれがあります。内容と期限を確認し、根拠資料をそろえて対応します。

Q3. お尋ねを受けて修正申告すると、加算税はかかりますか?
A. 行政指導の範囲での「自主的な見直し」として修正する場合、過少申告加算税は原則かかりません。ただし無申告加算税など例外もあり、税務調査としての指摘であれば加算税が課されます。文脈の見極めが重要です。

Q4. 確定申告後、いつ頃まで連絡が来る可能性がありますか?
A. 確定申告期間の終了直後(3月中旬以降)から初夏にかけて増える傾向がありますが、それ以降に連絡が来ることもあります。「もう時期を過ぎたから安心」とは言い切れません。

Q5. 税理士に依頼していれば、確定申告後の対応も任せられますか?
A. はい。顧問税理士がいれば、お尋ねや電話への対応窓口を任せられ、加算税リスクの判断や資料準備もサポートを受けられます。当事務所では元国税調査官の視点で対応します。

まとめ:確定申告後に「不安なまま終わらせない」ために

簡易な接触は、決して怖いものではありません。しかし、AI・KSKによる分析の結果、申告内容に何らかの違和感が生じたからこそ連絡が来ている事実は受け止める必要があります。

KSK2が本格稼働するこれからの時代、「なんとなくの申告」は通用しません。だからこそ、次の備えが必要です。

  • 税務調査を見据えた申告・会計
  • KSK2時代のリスク管理
  • 税務調査の確率を大幅に下げる書面添付制度の活用

確定申告後に慌てないための最大の防御になります。“簡易”なうちに正しく対応することが、後悔しないことにつながります。

無料相談実施中

「税務署から連絡が来て不安」「この対応で合っているか分からない」という方は、無料相談を実施していますので、ぜひ一度ご相談ください。ご連絡はお電話・メール・お問合せフォームへの入力のいずれでもOKです。

免責事項
当ブログのコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

関東の国税局・税務署で10年以上、法人の税務調査や酒類業免許審査担当などに従事。在籍中に中小企業診断士登録。その後、高付加価値サービスを提供する税理士法人で実務経験を積み、より多くのお客様に向き合うため独立開業。
顧問先様の「税務調査ゼロ」を掲げ、年間30件以上の創業支援を手がけるとともに、酒類販売免許に強い行政書士として活動。令和7年度からは大阪産業創造館の「経営サポーター」として大阪の経営者を多角的に支えている。趣味はダンス・筋トレ・ゲーム

目次