元国税調査官の税理士開業日誌⑤【利用している会計・申告ソフトやサービスなど】

おはようございます!

今回の開業日誌は、私が利用している会計・申告ソフトやサービスなどについてです。

税理士事務所の開業の際、どのソフトなどを利用するか悩みますよね。

ソフトなどを選んだ理由のほか、優れている点・イマイチな点が出てきましたのでそれらをリアルに書いていきます。

費用も掲載していますので、ソフトやサービスの比較・検討時の参考にしてみてください。

初めてブログを読まれる方へ。
開業日誌は、時系列かつ実体験に基づくシリーズものです。
開業後の行動などをリアルに書いていきます。

実際にして良かったことや、悪かったことなども書いていますので、士業の開業を志す方や今後開業を予定している方の参考になれば幸いです!

目次

利用している会計ソフト⇒マネーフォワード

クラウド会計の1つである「マネーフォワード」を利用しています。

会計ソフトの選び方について、会計の入力作業はできるだけゼロにしたいと考えたため、自動連携できるクラウド会計を前提に考えました。

クラウド会計では、マネーフォワードとfreeeとの比較をしました。

先輩税理士からそれぞれの画面を見せてもらい、各種帳簿書類や仕訳入力などの画面を確認。

freeeは簿記の知識がなくても会計処理ができる仕様であり、複式簿記形式ではないため、税理士事務所側では使いづらい印象があります。

取り込んだ仕訳のチェック・修正のしやすさを重視し、マネーフォワードにしました。

費用は下の画像のとおりです。

品目が2つになっていますが、開業時は基本的に年会費24万円(税抜)以外の選択肢はありません。ご参考まで。

マネーフォワードの使用感

利用期間が短く、すべての機能・サービスを使いこなせていないため、参考程度でお読みください。

優れている点

どのソフトも一長一短ですが、私が感じているマネーフォワードの優れている点は次のとおりです。

①クラウド会計などのユーザーインターフェースが良い
②クレジットカードの連携がタイムリー
③クラウド会計以外に「クラウド請求書」などのサービスの利用ができる

①クラウド会計のユーザーインターフェースが良い

確認したい帳簿書類や仕訳の手入力など直感的に使用できるため、非常に使いやすいです。
クラウド会計以外のサービスも同様。

Tabキーの活用や仕訳辞書機能など、記帳代行(入力代行)する場合も素早く入力が可能。

仕訳の一括編集やユーザーごとの権限の制限など、一通り必要な機能がある印象です。

入力済の仕訳の検索・修正が素早くできるところも、満足しています。

②クレジットカードの連携がタイムリー

クレジットカードの連携がタイムリーということを、マネーフォワードとfreeeの両方を使用している税理士からの話でわかりました。

freeeはクレジットカードの締め日にならないと連携されないそうですが、マネーフォワードは日々連携されます。

月々の損益を正確に計算する上では、マネーフォワードの方が良いです。

③クラウド会計以外に「クラウド請求書」などのサービスの利用ができる

クラウド会計以外に次の画像のようなサービスが標準で利用できます(クラウド〇〇が標準利用)。

多くのサービスが利用できるのは良い点です。
上記のサービスの大半がクラウド会計に連動できることも、使いこなせれば良い点と言えます。

しかし、使わないサービスにも料金が反映されていることは、考え方によっては悪い点。

クラウド〇〇のサービス料金は無料ですが、一部のサービスは一定の利用を超えたり、対象人数が増える場合は従量課金されます。

「クラウド請求書」の使用状況とカード払い機能について

私がよく利用しているサービスは「クラウド請求書」です。

請求書を作成・メール送付もできるため、かなり重宝しています。

とは言え、クラウド請求書とクラウド会計との連動はしないようにしています。

私が使いこなせていないだけかもしれませんが、連動の仕訳により預金残高にズレが生じるおそれがあるからです。

預金がずれた場合の修正の労力を考えると、連動させずに修正や手入力で対応した方が無難ということで、連動はしていません。

ちなみに、2025年の6月ごろから、クラウド請求書に「マネーフォワード 請求書カード払い」機能が実装され、請求書を受領した側でカード払いの利用ができるようになりました。

手数料がかなり安いため、顧問先様の協力を得てトライ。

結論としては、クレジットカード会社から「クラウド請求書は不正利用の可能性があるため利用停止」となり支払ができませんでした。

カード会社の問題かマネーフォワード社の問題かはわかりませんが、お客様からの情報によると後者の可能性があります。

実装されたばかりで、いろいろと課題があるのかもしれません。

上記の経緯をクラウド請求書の相談窓口にメールしても、明確な回答はありませんでしたので、当面の間は利用しない予定です。

イマイチな点

私が感じているマネーフォワードのイマイチな点は次のとおりです。
現時点での個人の考えや感想であることにご留意ください。

①クラウド会計のレポート機能
②機能が多すぎる(使いこなすのが困難)
③問合せ時の対応

①クラウド会計のレポート機能

レポート機能として、次の画像のようなレポート(財務資料)を出力することができます。

他のソフトに比べレポートは充実していません。

クラウド会計同士の比較において、マネーフォワードとfreeeの両方を使用している税理士からの話によると、freeeのレポートの方が充実しているとのこと。

とは言え、マネーフォワードのグループ会社のサービス「Manageboard」を利用すれば、充実したレポートの出力や、予実管理ができます。

Manageboardを利用しようと考え、営業の方と面談しました。
面談の最後に料金の説明がありましたが、想像していた10倍高かったため利用は断念。

面談時の資料は残っていませんが、料金は初期費用30万円+月額5万円と記憶しています。 ※金額は税抜
顧問先様の数が20以上ないと採算が合いません。

今のところ、Excelや口頭説明で財務報告を行っていますが、今後はExcelのマクロ機能やcopilotの活用により、充実した報告資料づくりをしていきます。

②機能が多すぎる(使いこなすのが困難)

ユーザーインターフェースは優れていますが、機能を使いこなすためにはFAQを読んだ上で、実際に使わないと使いこなせません。

特にクラウド〇〇のサービスとの連動です。

下手に連動してしまうと、想定していない仕訳が大量にクラウド会計に反映され、取り返しがつかないことも。

前述したクラウド請求書とクラウド会計との連動もその1つです。
預金残高がずれると修正にものすごい手間と時間がかかります。

もともとマネーフォワードを利用していて、開業された方は問題ありませんが、私のように開業してから初めてマネーフォワードを利用する場合は使いこなすのがかなり大変です。

利用期間が短いため、しっかりと使いこなせるように努めます。

③問合せ時の対応

マネーフォワードクラウド会計はじめ、各サービスの問合せは、サービス内のチャットがメインです。

チャットで対応できない部分などは、Chatworkにあるマネーフォワード社と税理士事務所のグループチャットで質問することができます。

どちらも対応が早くてありがたいですが、ほとんどの場合、既にあるFAQに当てはめて回答されます。
その後に個別の事由や状況を伝えて調べてもらうなど、必要な情報を得られるまで時間や手間がかかります。

各サービスのチャット問合せについて、営業時間であれば有人対応ですが、有人であっても機械的な対応という印象。

チャットで解決しない場合は、メールの窓口が解決することになります。
その際、こちらが経緯を最初から説明しないといけなかったため、対応がイマイチと感じました。

ITサービス全般に言えることかもしれませんが、電話であればすぐに解決しそうな問題でも、チャットなどでは時間と手間がかかります。

Chatworkでの問合せ対応

Chatworkにあるマネーフォワード社と税理士事務所のグループチャットでの質問した際も、対応は早いです。
しかし、回答の質はイマイチです。

開業時には、マネーフォワード社の開業サポート担当の方(開業時の期間限定)と定期的に面談を行ったり、その方にChatworkで質問ができます。

担当の方は簿記・会計の知識があまりなかったものの、こちらの立場になって対応してくれたため満足しています。

その方がいなくなった後は、別の方がChatworkでの質問などに対応してくれますが、回答が的外れであったり、回答内容が不十分であることが増えました。

「開業後、担当者がいる間に積極的に質問して使いこなしてね」ということかもしれません。

こちらも、既にあるFAQに当てはめるだけの回答が多いため、その後に個別の事由や状況を伝えて調べてもらうなど、必要な情報を得られるまで時間や手間がかかります。


また、下の画像のとおり、マネーフォワード側のミスにより、マネーフォワードのグループ会社で利用しているサービスの契約が切れ、会計関係のデータが消えたことがあります。

事前に退会申請のキャンセルの連絡をしていたのですが、このようなミスが起きました。

データの復元は不可能のため、こちらで再度入力などを行う方法しかなく、運が悪かったと考えるようにしています。

利用している申告ソフト⇒達人シリーズ

メジャーな申告ソフトである「達人シリーズ」を利用しています。

達人シリーズはリーズナブルであり、マネーフォワードと親和性があるため、あまり迷わずに決定しました。

API連携により、会計から申告へスムーズに連動できるということを、達人の販売代理店とマネーフォワードの営業担当の方に確認した上で購入。

当事務所の達人シリーズの費用は下の画像のとおりです。

パッケージ版とダウンロード版、達人の種類によってはグレードがあり、それぞれで価格が異なります。

ダウンロード版、かつ、資産税関係の利用がない場合は、上記の価格で一通りの使用ができます。

達人シリーズの使用感

利用期間が短く申告回数も多くないため、参考になるかわかりませんが、現時点での優れている点・イマイチな点を書いていきます。

優れている点

①申告書や申請・届出書に網羅的に対応
②申告書作成画面は帳票形式のため入力がしやすい
③問合せ対応がしっかりしている

③が特に良いと感じています。
電話とメールの回答の希望を選べますし、ほとんどの場合、翌日には回答の連絡があります。

イマイチな点

電子申告の地方税申告書の帳票は、電子申告の日時等が印字されない

現時点ではこれぐらいです。

地方税申告書に電子申告の日時等が印字されないことは、達人の仕様で印字されないということを確認済です。
地方税申告書ですので、印字されなくても特段の問題は起きません(国税は申告済の証明として必須)。

悪い点は、年末調整の達人など未使用のものがありますので、今後増えるかもしれません。

ブログを書いていて思い出しましたが、達人内のDATABASEへの接続について、使用しているパソコン自体の名前が長すぎると、DATABASEへアクセスできないエラーが発生します。

問合せ対応で解決しましたが、達人シリーズの使用開始までかなりの時間を要し、慌てた記憶があります。

マネーフォワードから達人シリーズの連携の使用感

マネーフォワードから達人シリーズの連携について、使用感を書いていきます。

API連携により、別のソフトからCSVをインポートするときに、よく起きるエラーははほとんどありません。

ただ、クリック数回で連携できるイメージでしたが、実際には下準備やエクスポート・インポートの作業などが必要です。

会計・申告が一体となっているソフトと比べると、不便な点や非効率があるのは仕方ないことですが、今のところ特段の不便はありません。

連携できない書類があることに注意

マネーフォワードで作成した個別注記表(決算書の一部)は、達人シリーズに連携されません。
そのため、達人側で注記表を作成する必要があります。

おそらく連携できない書類や機能はまだあるはず。
なんでも連携してくれるものではない点には注意が必要です。

重複しているサービス・機能はどちらを利用すべきか

年末調整や固定資産(減価償却費の計算)は、マネーフォワードと達人で重複しています。

どちらの利用が最適かまだわかっていません。
それぞれの会社の担当者に質問したところ、自社のサービス利用を勧めるか、状況による(わからない)という回答でした。

現時点では、年末調整はマネーフォワードのお客様側の従量課金を避けるため達人、固定資産は月々の損益を正確に計算するためマネーフォワードを利用しようと考えています。

マネーフォワードクラウド給与の利用や、書類等の電子申告を考慮すると、どちらがよいかも変わるでしょう。

マネーフォワードと達人を利用している先輩税理士がいれば、ぜひアドバイスをもらいたいところです。

顧問料や決算申告料などの決済サービス⇒ROBOT PAYMENT

ここからは会計・申告ソフト以外で利用しているサービスを書いていきます。

当事務所はクレジットカード決済サービスを利用しています。

カード決済にした理由は、①口座振替と異なり残高不足の心配がない②お客様のカード利用ポイントが貯まるからです。

実際に利用しているのはROBOT PAYMENTの「サブスクペイ」です。

サブスクペイのオプションである「メール決済」を利用しており、メールのURLから、カード情報を入力し決済ができます。

サブスクペイを選んだ理由は、メール決済が利用でき、費用がリーズナブルであったからです。

以下、優れている点とイマイチな点を書いていきます。

優れている点

・費用がリーズナブル
・不正利用がないようセキュリティがしっかりしている
・自動課金が可能で毎月の顧問料の決済が容易
・売上集計を年別、月別、日別で可能

良い点がある分、口座振替に比べ利用料や決済手数料は高いですが、決済方法の選択肢の1つになると考えています。

イマイチな点

・ユーザーインターフェースが古臭い
・利用ガイドがわかりづらく、マニュアルの内容も不十分

下の画像のとおり、トップメニューはじめ、全体的にユーザーインターフェースが古臭い印象です。

また、利用ガイドがわかりづらく、マニュアルの内容も不十分なものが複数あったため、機能を正しく使うためには問合せが必須と言えます。

利用している人たちのレビューや口コミが気になり、確認したところ「問合せしないと使い方がわからない」「電話対応は丁寧」という記載が多くありました。

注意点など

私はカード決済や自動課金に何度も失敗してきました。

その度、電話での問合せで使い方が合っているか確認して利用している状態です。
電話での問合せはしっかり対応してくれるため、すぐに操作方法を教えてもらえます。

ただ、最近はメールでの問合せが標準になった?ため、電話で質問ができず、メール返信を待たないといけません。

また、セキュリティが強固な分、各クレジットカード会社でのセキュリティ設定をしないと決済されないことがあります。

お客様にあらかじめその旨を説明しておかないと、トラブルになる可能性があります。

便利に利用できる分、正しい操作方法をしっかり覚え、お客様にもセキュリティとエラーの関係を説明しておくべきです。

他のクレジットカード決済サービスを利用していないため、サービスの標準がわからないところがありますが、これからサブスクペイの利用を始める場合、かなりハードルが高いと考えます。

費用は利用料と決済手数料(3%)の合計で、毎月1~1.5万円以上発生。
顧問先数の増加に応じ、手数料が連動して増加します。

費用がリーズナブルな分、イマイチな点があるのはやむを得ないかもしれませんね。

その他の利用サービス

私がよく利用しているサービスを書いていきます。 ※金額は税込

①Zoom

開業の翌月にZoomの有料版を利用(年間約2.6万円)。

ホストとして、初めて利用したのが開業5ヶ月目でしたので、それまでは利用していません。

使い始めるタイミングで有料版を利用するのが、無駄がなくおすすめです。

②mixhost

mixhostのドメイン・サーバーを利用しています。
費用は年間約2.3万円です。

mixhostやホームーページ(WordPress)については、こちらのブログで詳しく書いています。

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③Notion

お客様の情報管理ツールとして、Notionを使用しています。

現時点では、事務所のポータルサイト・顧問先様の情報管理・業務のマニュアル作成などに利用。

PCとスマホアプリの両方で利用できるので便利です。

無料版で十分に利用できています。

④Googleドライブ

顧問先様に関する書類はGoogleドライブに保存しています。

PCのインストール版とWEB版の両方を利用。

インストール版ではWEB版では利用できない方法で利用できたり、WordやExcelの利用ができるため、併用することをおすすめします。

現時点では、無料版の15GBの範囲で収まっていますが、そろそろ容量オーバーしそうです。

⑤その他

その他よく使うものは次のとおりです(すべて無料の範囲で利用)。

いずれも超絶便利です!

PDFツール iLovePDF 
画像生成 Canva Google gemini
スライド作成 イルシル
議事録作成 Google AI Studio ←音声による文字起こし
情報収集 ChatGPT

生成AIサービスが多いですが、個人情報保護の観点から、個人情報を含む場合はAIの利用はなし。

今後の業務効率化に生成AIは必須のため、現在勉強中です。
使いこなし次第、お客様への業務効率化の提案も行います。

最後に

私が開業した時に知りたかった、会計・申告ソフトやサービスの情報を中心に書いてきました。

開業7,8ヶ月のため、会計・申告ソフトは十分に使いこなせていません。

事務所ごとでサービス内容や利用状況も異なりますので、良い点・悪い点は参考程度に読んでもらえると幸いです。

費用について、現時点では最小限にしています。

開業1年目はできるだけ費用を抑え、2年目以降は業務効率を考え、かけるべきところにお金をかけようと考えているところです。

今後も試行錯誤・仮説検証・自身のアップデートなどすることは多くあります!


次回の開業日誌は、年末年始の時期に開業1年間の振り返りを書く予定です。

今後の振り返りにおいて、このブログで書いた良い点・悪い点の更新や訂正があるかもしれません。


開業日誌を書くことは、私自身の定期的な振り返りの機会にもなるため、今後も継続していきます!

ではまた!

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この記事を書いた人

関東の国税局・税務署で法人の税務調査や酒類業免許審査担当などに従事。
業界の手本と言える高付加価値サービスを提供する税理士法人で実務経験を積み、出身地である八尾市にて独立開業。
現在、法人の税務顧問に特化した税理士事務所と、酒類販売業免許専門の行政書士事務所を経営するとともに、令和7年度 大阪市産創館の経営サポーターとしても活動。

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