みなさん、こんにちは!
今回のブログでは、多くの会社で支給される通勤手当の税金について解説します。
あまり知られていませんが、通勤手当が給与として課税されない金額には限度があります(非課税限度額)。
非課税限度額を超えた支給があり、税金を正しく計算していなければ税務調査で指摘されます。
この機会に通勤手当の非課税限度額を確認しておきましょう。
通勤手当の非課税限度額
タイトルにある「通勤距離 片道2㎞未満 の通勤手当」は、全額が給与として課税されます。
その他、通勤手当の非課税限度額については、以下のとおり細かいルールがあります。
通勤区分に応じた非課税限度額
通勤手当(通常の給与に加算して支給されるものに限ります。)や通勤用定期乗車券(これらに類する手当や乗車券を含みます。)は、次の区分に応じ、それぞれ1か月当たり、次の図表の金額までは課税されないことになっています。

※「運賃等の額」には、消費税及び地方消費税相当額が含まれます
この図表から「通勤距離 片道2㎞未満 の通勤手当」全額が、給与として課税されることがわかります。
「合理的な運賃等の額」
上記図表の 「合理的な運賃等の額」とは、通勤のための運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃または料金の額をいいます。
言い換えると、費用が安く(経済的)かつ無駄がないルートや方法(合理的)のことです。
例えば
①金額が片道370円、時間が58分かかるルート
②金額が片道400円、時間が45分かかるルート
③金額が片道500円、時間が41分かかるルート
であれば、「合理的な運賃等の額」は②です。
「最も経済的かつ合理的」の判断
経済的かつ合理的な判断は、金額と時間の両方から判断しますが、この判断が難しいです。
明確な判断基準がないため、上記の3パターンのルートであれば、例えば1分当たりの金額を計算する方法や、ルート間における金額と所要時間の割合を比較し判断するのがよいでしょう。
最終的には支払う事業者の判断です。
通勤時間・距離が長くなれば、経路が増えるため、さらに判断が難しいです。
判断要素として次の要素が考えられます。
・トータルの通勤時間が短い
・通勤経路の距離が短い
・乗り換え回数が少ない
・乗り換え時の徒歩時間が短い
・家や会社の最寄駅からの徒歩時間が短い
・その他特別な事情がある
上記の図表の「合理的な運賃等の額」には、新幹線鉄道を利用した場合の特別急行料金は含まれます。
当然ですが、グリーン料金は含まれません。
マイカー通勤で有料道路を利用した場合の料金等の額も、その通勤方法や経路が「最も経済的かつ合理的な経路及び方法」に該当する場合には、非課税の通勤手当に含まれます。
「電車・バス」+「マイカー・自転車」の場合
電車やバスなどの交通機関のほか、併せてマイカーや自転車なども使って通勤している場合
この場合の非課税となる限度額は、次の(1)と(2)を合計した金額ですが、1か月当たり15万円が限度です。
(1) 電車やバスなどの交通機関を利用する場合の1か月間の通勤定期券などの金額
(2) マイカーや自転車などを使って通勤する片道の距離で決まっている1か月当たりの非課税となる限度額
非課税限度額を超えて支給する場合
1か月当たりの非課税となる限度額を超えて、通勤手当や通勤定期券などを支給した場合には、超える部分の金額が給与として課税されます(従業員視点)。
事業者は通勤手当を支給した月の給与の額に上乗せして、所得税および復興特別所得税の源泉徴収を行います。
短期間の雇用者の通勤手当
パート・アルバイトなどの短期間の雇用者の通勤手当については、月を単位にして計算します。
過去の非課税限度額の引き上げ
かなり前ですが、平成28年度の税制改正により、通勤手当の非課税限度額について、現在の金額に引き上げられた経緯があります。

税務調査で確認される内容
就業規則などに基づき、通勤手当を支給することが一般的です。
税務調査では、通勤手当がどのような基準で支給されているか確認されます。
調査官は、支給された金額が非課税限度額を超えて支給されているか、支給されている場合、正しく課税されているか確認していきます。
事業者が通勤手当の非課税限度額を知らない場合、顧問税理士の指導・確認不足があると、課税もれが起きます。
私の過去の調査においては、通勤距離 片道2㎞未満 の通勤手当の課税もれが最も多くありました。
まとめ
解説したとおり、通勤手当の非課税限度額には細かいルールがあります。
特に、非課税限度額にある「合理的な運賃等の額」の判断が難しいです。
新入社員が多くなる時期、通勤手当の申請などの手続を担当する方は大変な作業が発生します。
ルート検索サービスのなかには、おすすめ経路を挙げてくれるものがあり、最も経済的かつ合理的な経路の判断の参考にできるものもあります。
通勤に関する業務を効率化するソフトやサービスもあるみたいですので、うまく活用したいところです。
税務調査については、通勤手当の非課税限度額の課税もれがないか確認されます。
この機会に、就業規則などを確認の上、通勤手当の課税関係に問題がないか確認することをおすすめします。
最後にいしい税理士・行政書士事務所は、税務調査に圧倒的に強い事務所です。
税務調査の確率を大幅に下げる書面添付の作成のほか、万が一税務調査となった場合でもお客様を全力でお守りします。
税務調査に不安がある方は、お気軽にお問い合わせください!