通勤距離 片道2㎞未満 の通勤手当は課税される!?

あまり知られていませんが、通勤手当が給与として課税されない金額には限度があります(非課税限度額)。

非課税限度額を超えた支給があると、その分に所得税がかかります。その所得税を正しく計算していなければ税務調査で指摘されます。

この機会に通勤手当の非課税限度額を確認しておきましょう!

目次

通勤手当の非課税限度額

タイトルにある「通勤距離 片道2㎞未満 の通勤手当」は、全額が給与として課税されるため、所得税の計算対象にしないといけません。

その他、通勤手当の非課税限度額については、以下のとおり細かいルールがあります。

通勤区分に応じた非課税限度額

通勤手当(通常の給与に加算して支給されるものに限ります。)や通勤用定期乗車券(これらに類する手当や乗車券を含みます。)は、次の区分に応じ、それぞれ1か月当たり、次の図表の金額までは課税されないことになっています。

※「運賃等の額」には、消費税及び地方消費税相当額が含まれます

この図表から「通勤距離 片道2㎞未満 の通勤手当」全額が、給与として課税されることがわかります。

ちなみに、従業員の方が給与明細を見たときに、通勤手当が適正に課税されているかどうかはわからないです。税務(経理)の知識がないと、所得税の計算ができないためです。

ですので、会社側が適切に経理処理をしないといけません。

【追記】
2025年11月から片道10km以上の非課税限度額が引き上げられました。
詳しくは下のブログをご確認ください。

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「合理的な運賃等の額」

上記図表の「合理的な運賃等の額」とは、通勤のための運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃または料金の額をいいます。

言い換えると、費用が安く(経済的)かつ無駄がないルートや方法(合理的)のことです。

例えば
①金額が片道370円、時間が58分かかるルート
②金額が片道400円、時間が45分かかるルート
③金額が片道500円、時間が41分かかるルート
であれば、「合理的な運賃等の額」は②です。

「最も経済的かつ合理的」の判断

経済的かつ合理的な判断は、金額と時間の両方から判断しますが、この判断が難しいです。

明確な判断基準がないため、上記の3パターンのルートであれば、例えば1分当たりの金額を計算する方法や、ルート間における金額と所要時間の割合を比較し判断するのがよいでしょう。

最終的には支払う事業者の判断です。

通勤時間・距離が長くなれば、経路が増えるため、さらに判断が難しいです。判断要素として次の要素が考えられます。

・トータルの通勤時間が短い
・通勤経路の距離が短い
・乗り換え回数が少ない
・乗り換え時の徒歩時間が短い
・家や会社の最寄駅からの徒歩時間が短い
・その他特別な事情がある

上記の図表の「合理的な運賃等の額」には、新幹線鉄道を利用した場合の特別急行料金は含まれます。当然ですが、グリーン料金は含まれません。

マイカー通勤で有料道路を利用した場合の料金等の額も、その通勤方法や経路が「最も経済的かつ合理的な経路及び方法」に該当する場合には、非課税の通勤手当に含まれます。

「電車・バス」+「マイカー・自転車」の場合

電車やバスなどの交通機関のほか、併せてマイカーや自転車なども使って通勤している場合
この場合の非課税となる限度額は、次の(1)と(2)を合計した金額ですが、1か月当たり15万円が限度です。

(1) 電車やバスなどの交通機関を利用する場合の1か月間の通勤定期券などの金額
(2) マイカーや自転車などを使って通勤する片道の距離で決まっている1か月当たりの非課税となる限度額

非課税限度額を超えて支給する場合

1か月当たりの非課税となる限度額を超えて、通勤手当や通勤定期券などを支給した場合には、超える部分の金額が給与として課税されます。

事業者は通勤手当を支給した月の給与の額に上乗せして、所得税および復興特別所得税の源泉徴収を行います。

短期間の雇用者の通勤手当

パート・アルバイトなどの短期間の雇用者の通勤手当については、月を単位にして計算します。

(参考)過去の非課税限度額の引き上げ

かなり前ですが、平成28年度の税制改正により、通勤手当の非課税限度額について、現在の金額に引き上げられた経緯があります。

税務調査で確認される内容

就業規則などに基づき、通勤手当を支給することが一般的です。

税務調査では、通勤手当がどのような基準で支給されているか確認されます。

調査官は、支給された金額が非課税限度額を超えて支給されているか、支給されている場合、正しく課税されているか確認していきます。

顧問税理士の指導・確認不足があると、課税もれが起きます。

私の過去の調査において、源泉所得税関係では、通勤距離 片道2㎞未満 の通勤手当の課税もれが最も多くありました。

まとめ

通勤手当は「非課税だから安心」と思われがちですが、実務では 非課税限度額の判定ミスや課税もれが非常に多い項目 です。

特に、次のケースは税務調査で実際によく確認され、指摘されやすいポイント です。

  • 通勤距離が 片道2km未満 のケース
  • 電車・バスとマイカーを併用しているケース
  • 就業規則と実際の支給内容がズレているケース

しかも、給与明細を見ているだけでは、正しく課税されているかどうかを従業員側が判断することはできません。

そのため、
「これまで特に問題を指摘されたことがない」
「前任の経理担当や顧問税理士がそうしていた」
という理由だけで処理を続けていると、調査時にまとめて是正されるリスクがあります。

当事務所では、次の対応を行っています。

  • 通勤手当の支給ルールと就業規則の確認
  • 非課税限度額・課税関係のチェック
  • 税務調査を見据えた実務的なアドバイス

「うちは大丈夫だろうか?」
「一度きちんと確認しておきたい」

そう感じられた方は、税務調査対応を熟知した税理士として、ぜひ一度ご相談ください。小さな確認が、将来の大きな指摘を防ぐことにつながります。

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この記事を書いた人

関東の国税局・税務署で10年以上、法人の税務調査や酒類業免許審査担当などに従事。高付加価値サービスを提供する税理士法人で実務経験を積み、より多くのお客様に向き合うため独立開業。
顧問先様の「税務調査ゼロ」を掲げ、年間30件以上の創業支援を手がける。酒類販売免許に強い行政書士としても活動し、令和7年度からは大阪産業創造館の「経営サポーター」として大阪の経営者を多角的に支えている。

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