【速報】令和6事務年度 法人税調査事績:調査件数減でも追徴税額「過去最高」。データが示す国税庁の「狙い撃ち」戦略

国税庁が12月に「令和6事務年度 法人税等の調査事績」を公表しました。

内容を一言でまとめると、「調査官は以前より来なくなったが、来たときは以前より高確率で、高額な追徴課税を持っていく」という結果です。

このブログでは、最新の統計データを基に、AI活用による調査のパラダイムシフトと、国税組織が狙っている「3つの重点ターゲット」について解説します。

目次

【衝撃のデータ】件数は減ったのに、追徴額は過去最高へ

令和6事務年度(令和6年7月1日~令和7年6月30日のこと。以下、R6年度)の最大の特徴は、一見矛盾するような以下の現象です。

実地調査件数
前年比 7.4%減(5.4万件)

追徴税額総額
過去10年で 最高額(3,407億円)

これをわかりやすく表にまとめると、以下のようになります。

評価項目令和5事務年度令和6事務年度変動率評価
実地調査件数5.9万件5.4万件▲7.4%減少(絞り込み)
追徴税額総額3,197億円3,407億円+6.6%過去10年で最高
1件当たり追徴税額549万円634万円+15.4%大幅増

なぜこんなことが起きたのか?

答えは、国税庁が進める「AI(人工知能)とデータ分析」です。

かつてのような「調査先に行ってみないとわからない」や「精度の低い選定」は終わりを告げようとしています。現在はKSK(国税総合管理システム)とAIが、過去の膨大なデータから「不正の可能性が高い法人」をピンポイントでスコアリングしています。

その結果、「空振り」が減り、1件当たりの成果(追徴税額)が飛躍的に向上したのです。

これは序の口であり、今後さらに絞り込んだ調査により、多額の追徴税額がスタンダードになることが予想されます。詳しくは下のブログで解説しています。

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恐怖の数字「77.8%」:調査官が来たら「4回に3回」は追徴課税

今回の分析で最も注目すべきは、「実地調査に入られた場合、どれくらいの確率で追徴が発生するか(非違割合)」です。

公表データから計算すると、その確率は驚異的な数値となります。

実地調査における非違割合: 約 77.8%  ※非違件数42万件/実地調査件数54万件

前年度の76.3%から、さらに上昇しています。

そして、調査1件当たりの追徴税額は634万円です。前年度の549万円から、さらに高い水準に上昇しています。

まさに事前分析の精度が高まっていることの証明と言えるデータです。

実地調査だけじゃない!急増する「簡易な接触」

実地調査が「悪質な事案」にリソースを集中させる一方で、軽微なミスや確認事項については、「簡易な接触」という手法が急激に増えています。

手法: 電話、書面による照会、税務署への呼び出し
件数: 8.5万件(前年比 +13.4%
効果: 実地調査の約1.6倍の件数を処理し、265億円の追徴税額

簡易な接触は対応を間違えるとペナルティ(加算税)の対象になるリスクがあります。特に、電話対応には注意が必要です。その理由や対応方法を下のブログで詳しく解説しています。

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国税組織が狙う「3大重点ターゲット」

引き続き、国税組織が明確にターゲットに定めている3つの領域は以下のとおりです。

① 消費税還付申告法人(不正還付の阻止)

特徴: 輸出業者が消費税の還付を受ける仕組みを悪用
手口: 価値のない「ゴミ」を高級品として輸出したように見せかける、国内で架空の循環取引を行うなど
対策: 税関と連携し、貨物のX線検査データと申告内容を突合する「水際作戦」を展開

② 海外取引法人(グローバルな税逃れ)

特徴: 海外子会社を使った利益の付け替えや、富裕層の資産隠し
手口: 海外子会社への資金援助を「原価(仕入)」に仮装するなど
対策: CRS(共通報告基準)による海外口座情報の入手や、外国税務当局との情報交換により、海外のペーパーカンパニーの実態を明らかにする

③ 無申告法人(デジタル経済)

特徴: ネット通販、アフィリエイト、暗号資産、シェアリングエコノミーなど
対策: プラットフォーム事業者(Amazon、Uberなど)への照会権限を使い、デジタル上の取引履歴を捕捉

まとめ:今後の税務調査への備え

令和6年度のデータは、税務調査がAI・データ活用による「狙い撃ち」へ変貌したことを示しました。実地調査の非違割合は約78%に達し、生半可な申告は通用しません。

さらに来年9月には新システム「KSK2」が稼働し、選定精度は革命的に向上します。「なんとなく」の経理は、今後致命的な追徴リスクに直結します。

私たちは、この激変する環境下で「税務調査ゼロ」を本気で目指しています。「自社の処理は大丈夫か」「今の税理士で守れるか」と少しでも不安を感じたら、当事務所へご相談ください。

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この記事を書いた人

関東の国税局・税務署で10年以上、法人の税務調査や酒類業免許審査担当などに従事。在籍中に中小企業診断士登録。その後、高付加価値サービスを提供する税理士法人で実務経験を積み、より多くのお客様に向き合うため独立開業。
顧問先様の「税務調査ゼロ」を掲げ、年間30件以上の創業支援を手がけるとともに、酒類販売免許に強い行政書士として活動。令和7年度からは大阪産業創造館の「経営サポーター」として大阪の経営者を多角的に支えている。

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