ランチ補助で社員満足度UP!導入前に知っておきたい「7,500円の壁」と税務の注意点


※令和8年度税制改正を踏まえ2026.4リライト

近年、人材採用や社員定着の切り札として「福利厚生の充実」への注目が高まっています。 特に、毎日の楽しみに直結する「食の福利厚生(ランチ補助)」は、働く人たちにとって非常に嬉しい制度ですよね。

最近では社員食堂がなくても、専用の電子マネーやチケットを使って、近隣の飲食店を社食代わりに利用できる便利なサービスも増えてきました。

しかし、このランチ補助。 「福利厚生費」として処理できるか、「給与」として課税されてしまうかには、明確なルールがあることをご存じでしょうか?

今回のブログでは、会社がランチ補助を行う際の税務上の取り扱いを解説します。

目次

ランチ補助の税務上の取り扱い

ランチ補助は福利厚生費の一種

福利厚生費とは、企業が従業員(その家族)の健康維持、生活の向上、労働環境の充実などを目的として、給与や賞与などの通常の賃金とは別に支出する費用のことです。

ランチ補助のほか、健康診断、制服代、社宅の貸付、福利厚生施設の利用など範囲は広いですが、認められるには以下の3つの要件を満たす必要があります。

  1. 現物支給であること
  2. 全従業員を対象としていること
  3. 金額が社会通念上、妥当であること

交際費とは異なり、福利厚生費の範囲は税法で厳密に定義されていないため、まずは上記の要件を満たすかが大前提となります。

要件を満たさない場合、従業員への「給与」とみなされ、所得税の課税対象となります。

なお、個人事業主の場合、専従者(家族)以外の従業員のために支出した費用に限り認められます。

【参考】

国税庁『令和8年版 源泉徴収のあらまし』の「Ⅱ 給与所得の範囲」に、非課税となる基準などが定められています。

ランチ補助の非課税ルール

ランチ補助を「給与課税されない福利厚生費」として処理するためには、前述の要件に加え、以下の2つの数字を守る必要があります。

【必須要件】

① 従業員が食事代の「半分以上」を負担していること
② 会社の負担額が「月額7,500円(税抜)以下」であること

【会社負担額の計算式】

会社負担額 = 実際にかかった食事代 - 従業員が負担した金額

この会社負担額が月額7,500円(税抜)以下であれば、全額が福利厚生費として認められ、従業員に所得税はかかりません。

しかし、会社負担額が7,500円を1円でも超えてしまった場合、「超えた分だけが給与課税」ではなく、会社負担分の「全額」が給与課税の対象となるため要注意です。

判定のポイント

  • 7,500円の判定は「税抜」で行う
  • テイクアウト(8%)と店内飲食(10%)が混在する場合は、計算方法と10円未満の端数処理に注意が必要(計算方法等は「国税庁のタックスアンサー」参照)

判定を誤ると、後から源泉所得税の徴収漏れを指摘されるリスクがあるため、金額設定と消費税の計算は慎重に行わないといけません。

「ランチ」以外の食事代の取り扱い

ランチ以外の食事については取扱いが異なります。

残業、宿日直時等の食事代

残業、宿日直時の食事代については、所得税の課税をしなくてよいこととなっています(所得税法基本通達36-24)。

深夜勤務者の夜食代

深夜勤務者(午後10時から翌日午前5時までの間に勤務する人)に対して、夜食の現物支給に代え勤務一回ごとの定額で支給する金銭で、その一回の支給額が650円以下のものについては、課税しなくてよいこととなっています。

会議・打合せ時の食事代

会議中の弁当代や、取引先との会食費用は、業務遂行に必要な費用として「会議費」等で処理され、給与課税はありません。

※取引先との飲食は、金額や内容により「交際費」になる場合があります

まとめ

ランチ補助は制度設計を一歩間違えると「善意の福利厚生」が「追徴リスク」に変わってしまいます。特に対象者の範囲、金額設定、消費税の計算は税務調査でよく見られるポイントです。

「うちは大丈夫だと思っているけど、少し不安…」その段階でのご相談が、一番リスクもコストも小さく済みます。

食事補助を検討している経営者の方は、当事務所にお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

関東の国税局・税務署で10年以上、法人の税務調査や酒類業免許審査担当などに従事。在籍中に中小企業診断士登録。その後、高付加価値サービスを提供する税理士法人で実務経験を積み、より多くのお客様に向き合うため独立開業。
顧問先様の「税務調査ゼロ」を掲げ、年間30件以上の創業支援を手がけるとともに、酒類販売免許に強い行政書士として活動。令和7年度からは大阪産業創造館の「経営サポーター」として大阪の経営者を多角的に支えている。

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