税務署はこうして会社を選ぶ!税務調査対象になる6つの理由

8月から12月は税務調査の最盛期です。

税務調査はランダムに行われるわけではありません。

税務署には“会社を選ぶ理由”があります。

その理由を元国税調査官の税理士が詳しく解説します。

目次

税務調査対象になる6つの理由

次のとおり、税務調査対象になる理由は大きく6つあります。

①売上増加だが利益減少
②売上減少だが売上原価(仕入・外注費)増加
③多額の費用や損失が計上されている(役員退職金、貸倒損失など)
④過去の税務調査で不正(重加算税)があった
⑤法人設立後一度も調査していない
⑥国税組織内に不正につながる資料がある

上記に該当する場合、税務署側は問題があると疑い、調査対象に選びます。

6つの理由の解説

以下、それぞれの理由を解説します。

売上増加だが利益減少

経営していると増収減益はよくあります。

しかし、税務署側は過去の売上に除外がないか、直近の事業年度に架空経費などの計上を想定します。
調査選定理由の定番がこれです。

売上減少だが売上原価(仕入・外注費)増加

売上が減少すると、売上原価も減少しないとおかしいと税務署側は考えます。

税務署側は過去の売上に除外がないか、直近の事業年度に架空の仕入や外注費の計上を想定します。

こちらも経営しているとやむを得ず発生することがありますが、税務署側は性悪説で考えるため通用しません。

多額の費用や損失が計上されている

役員退職金、貸倒損失など多額の費用や損失が計上されている場合も理由になります。

貸倒損失の場合、売掛金が回収不能などのときに計上しますが、法令解釈通達の基準に合っていないことが多いため、選定理由に。

法令解釈通達については、こちらのブログで解説しています。

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税理士が通達に精通しているかどうかにより、税務処理の判断はもちろん、税務調査の結果も変わるため、通達を学ぶことは大変重要です。

過去の税務調査で不正(重加算税)があった

過去の調査で不正があると法人の管理が「過去に不正あり」というグループに登録され、3~5年間ごとの調査になります。

不正の事実だけで調査選定されるため、一度でも不正を行った会社は頻繁に税務調査が行われます。

法人設立後一度も調査していない

「設立以降未着手」という選定理由があります。

この理由による調査を回避することはできませんが、最初に調査があったときに正しい決算申告により「問題なし」となれば、その記録が残り、今後は調査に選ばれにくくなります。

国税組織内に不正につながる資料がある

売上の請求書を例にすると、会社同士の取引であるにもかかわらず、社長の個人通帳へ振込するよう請求しているものです。

このような資料は、法人の売上を意図的に除外(不正行為)する可能性が高い重要資料扱いとなります。

重要資料があると、資料を管理している統括官から調査を命じられることがあります。

その他

税務署を監督する国税局が、年度によって重点的に税務調査する業種を決めている場合があり、その業種にあてはまると調査の確率が高くなります。

好況な業種、新たな不正パターンが見つかった業種、国際経済情勢などの要因から業種が決まります。

調査選定されないようにする方法

次の3つの調査選定理由は、書面添付を行うことで、調査選定理由から外すことができます。

①売上増加だが利益減少
②売上減少だが売上原価(仕入・外注費)増加
③多額の費用や損失が計上されている(役員退職金、貸倒損失など)

「書面添付」で、その要因や経緯を詳細に記載することで、税務署側の疑問を解決し、税務調査の確率を大幅に減少できます。

調査選定の後に行われること

調査選定の後、調査官は選定した会社の「準備調査」を行います。

準備調査については、こちらのブログで解説しています。

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まとめ

税務調査対象になる6つの理由を解説しました。

前述した3つの理由については、書面添付を行うことで調査選定の理由から外せます。

書面添付は税理士がお客様の事業の内容と取引の内容を理解することはもちろん、会計・税務・通達に精通していなければ、記載することができません。

いしい税理士・行政書士事務所では、1,000件に1件しかないと言われる「良好な書面添付」を行い、顧問先様の税務調査ゼロを目指しています。

自社が税務調査に選ばれやすいかどうか不安な方、現在の顧問税理士が頼りないと感じる方は、お気軽にお問合せください!

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この記事を書いた人

関東の国税局・税務署で法人の税務調査や酒類業免許審査担当などに従事。
業界の手本と言える高付加価値サービスを提供する税理士法人で実務経験を積み、出身地である八尾市にて独立開業。
現在、法人の税務顧問に特化した税理士事務所と、酒類販売業免許専門の行政書士事務所を経営するとともに、令和7年度 大阪市産創館の経営サポーターとしても活動。

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